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空調・換気設備の吹き出し口の種類|7つのタイプをわかりやすく解説

空調・換気設備の設計において、吹き出し口の選定は、空調効率や室内の快適さを左右する重要な要素です。吹き出し口にはいくつかの種類があり、設置場所や用途に応じたものを選ぶ必要があります。

そこで本記事では、吹き出し口を形状別、機能別に分類し、それぞれの特徴について解説していきます。

 

 

 

 

 


 ■この記事でわかること

  • 形状による吹き出し口の種類と、それぞれの特徴
  • 各吹き出し口の適切な設置場所や用途
  • 機能による吹き出し口の種類と特長

空調・換気設備の吹き出し口は、形状によって以下の5種類に大別できます。


  • シーリングディフューザー形
  • ユニバーサル形
  • ノズル形
  • ライン形
  • 床吹き出し口

それぞれの特徴について、以下で解説します。

 

 

シーリングディフューザー形は、最も一般的な天井設置型の吹き出し口です。丸型と角型があり、それぞれにコーン型とパン型という2種類の構造があります。

なかでも採用されているのが丸型コーン型です。商業施設やオフィスビル、ホテル、病院など、多岐にわたる施設で取り入れられています。このタイプは「アネモ型」と呼ばれることもあります。

コーン型は、室内の空気を、吹き出し口周辺とコーン内部で混合して吹き出すことが特徴です。これにより室内の温度差が少なくなり、冷風や温風が直接当たることによる不快感を軽減できます。

一方、パン型は室内空気との混合率が低く、気流の到達距離が長い点が特徴です。そのため、天井が高い空間での使用に適しています。

また、コーン型はコーンを、パン型はパンを上下に調整することで、垂直方向と水平方向の気流を変えることができます。これにより、季節や用途に応じた最適な気流制御が可能です。

 

ユニバーサル形は、天井や壁に取り付け可能な吹き出し口です。ブラインドのように横向きに羽が付いているタイプや、縦向きに羽が付いているもの、格子状のものがあります。換気用の吸い込み口としても使用できる汎用性の高い設計となっています。

羽を動かすことで気流の方向や拡散性能を調整でき、シャッターを取り付けることで風量調整も可能です。このような柔軟性の高さから、オフィスビルやホテル、病院など、さまざまな用途の建築物で採用されています。

 


ノズル形は、筒状の形状をしている吹き出し口です。遠くまで風を送りたい場合や、特定の方向に空気の流れを作りたい場合に適しています。

天井が高い空間、厨房、工場、公共施設、ホールなどで多く採用されており、気流の方向を調整できる機能も備えています。また、筒状の構造により騒音が発生しにくいのが特徴です。

 

ライン形は、細長い形状をした吹き出し口で、天井や壁に設置できます。帯状に風が吹き出すという特徴を活かし、様々な場所で使用されています。

代表的な設置場所は、エレベーターホールに続く廊下や、外気や日射の影響を受けやすいペリメーターゾーンなどです。また、建物の出入り口や飲食店、工場、倉庫などでは、外気や虫などの侵入を防ぐエアカーテンとしても活用されています。

連続しての設置も可能で、長く接続してもデザインの一体感を損なうことがありません。インテリアデザインの一環として、空間に溶け込む設計が可能です。

 

床吹き出し口は、床面に設置される高い吹き出し口です。丸型とライン型の2種類があり、丸型はオフィスや学校、劇場などに、ライン型はペリメーターゾーンへの設置に適しています。

一般的な天井吹き出し方式では、頭上の空間まで空調する必要があるためエネルギー消費が大きくなりますが、床吹き出し口は人がいる空間を直接空調できるため、エネルギー効率に優れています。

また、天井吹出し方式では個々のニーズに合わせた温度や風量の調整が難しい一方で、床吹き出し口は個別調整が可能です。放射状の気流により風が直接人に当たりにくいため、快適性も高くなっています。

 

空調・換気吹き出し口は、形状だけでなく、機能によって分類することもできます。ここでは、より快適な室内環境を実現するための機能を備えた吹き出し口として、以下の2種類を紹介します。

  • オート型温度センサー付き吹き出し口
  • 結露防止型吹き出し口

それぞれ見ていきましょう。

 

オート型温度センサー付き吹き出し口は、室内の温度を自動的に検知し、風向きや気流量を最適に調整する機能を備えています。これにより、特定の場所が過度に冷やされたり暖められたりすることを防ぎ、室内全体を快適な温度に保つことが可能です。

このタイプは、ホールや体育館といった大空間など、温度が不均一になりやすい場所での使用に適しています。また、センサーは電気を使用しない自己温度感知方式を採用しているため、電気代などのランニングコストが追加でかかることはありません。

 

結露防止型吹き出し口は、結露の発生を防ぐための専用カバーやヒーターを搭載した製品です。

空調・換気設備の結露は、暖かい空気が冷たい物体に触れることで発生し、水滴となって床や壁に垂れ落ちることがあります。これをそのまま放置するとカビが発生し、衛生面だけでなく健康面にも悪影響を及ぼすおそれがあります。特に、温度変化の激しいエントランスや、厨房などの暖かい空気が多い場所では結露が発生しやすく、対策が必要です。

結露防止型吹き出し口は、暖かい空気が冷たい部分に直接触れないよう設計されているため、結露の発生を効果的に防ぎます。これにより、カビの発生を防ぎ、快適な室内環境を維持することが可能です。

空調・換気設備の吹き出し口は、設置場所や用途によって最適な選択肢が異なります。

形状は主にシーリングディフューザー形、ユニバーサル形、ノズル形、ライン形、床吹き出し口の5種類があり、さらにオート型温度センサー付き吹き出し口や、結露防止型吹き出し口といった、便利な機能を持つタイプも存在します。

適切な吹き出し口を選定するためには、建物や部屋の用途、利用人数、天井高など、さまざまな要素を考慮する必要があります。また、室内の快適性や省エネ性は吹き出し口の種類だけでなく、空調や換気設備の種類や能力の選定も重要です。

しかし、室内の快適性や省エネ性を考慮した機器の選定には専門的な知識が必要で、多くの時間と労力がかかるでしょう。

そこでおすすめなのが、空調・換気の専門家に相談する方法です。パナソニックでは、空調・換気設備設計に関するお悩みを無料で解決するサービスを提供しています。

吹き出し口については、制気口の設置場所や、それに伴う空調/換気設備の選定をサポートいたします。空調/換気設備においては、プランの設計から機器の選定まで一貫したサポートが可能です。

これにより設計の手間を省き、設計士さんがコア業務に注力しやすい環境を整えることが可能です。どのようなサポートが必要か、まずはお気軽にご相談ください。