熱負荷とは、室内の温湿度を一定に保つために必要な熱量のことを指します。室内の快適性や冷暖房効率に直結するため、各空間の熱負荷を把握し、それに基づいて空調設備を選ぶ必要があります。
本記事では、熱負荷の基本や重要性、確認方法まで詳しく解説します。
▼目次
熱負荷とは、室内の温湿度を一定に保つために必要な熱量(kcal)のことです。大きく分けて、「冷房負荷」と「暖房負荷」の2種類があります。
冷房負荷は、室内を涼しく保つために除去しなければならない熱量です。一方、暖房負荷は、室内を暖かく保つために供給する必要がある熱量のことです。
さらに、冷房負荷と暖房負荷には「顕熱」と「潜熱」という2つの要素があります。
冷房負荷は、室内を涼しく保つために除去しなければならない熱量です。省エネ基準(建築物エネルギー消費性能基準)の適合において必要となる算出項目から、冷房負荷となる要素を以下にまとめました。
<顕熱>
<潜熱>
暖房負荷とは、室内を暖かく保つために必要な熱量です。冷房負荷と同様に、省エネ基準において必要となる算出項目のなかから、暖房負荷の要素をチェックしておきましょう。
熱負荷を考慮して適切な空調設備を選ぶ重要性を、以下の3つの観点から解説します。
熱負荷を正確に把握せずに設備を選ぶと、室内の温度や湿度が不安定になり、室内の快適性が損なわれる可能性があります。
例えば、過剰な冷却能力を持つ空調設備の使用は、室内を必要以上に冷やしてしまう原因です。反対に冷却能力が不足している空調設備では、十分に室内を冷やすことができません。
室内環境を整えて快適に過ごすために、熱負荷を考慮して空調設備を選択することは非常に重要です。
室内の熱負荷に適した空調設備を選ぶことは、エネルギー効率を向上させ、電気代の節約にもつながります。長期的な運用コストの面からも、無視できないポイントです。
エネルギー効率の高い空調設備は、最小限のエネルギーで必要な冷暖房効果を達成することができます。これにより、無駄な電力消費を抑え、経済的かつ環境に配慮した運用をすることが可能です。
特に日本では、発電の約70%がCO2を排出する火力発電に依存しています。使用電力量が少ない空調設備を選定することは、CO2排出量を削減する方法の1つでもあるのです。
※出典元:
令和4年度(2022年度)エネルギー需給実績を取りまとめました(速報)|経済産業省
適切な熱負荷に基づいて選ばれた空調設備は過負荷になりにくいため、故障のリスクを低減することができます。
能力が不足している空調設備は、常に高出力で運転しなければなりません。しかし、高出力での運転状態が続くと、内部部品の劣化が早まって故障の原因になります。もし故障してしまうと、修理費用や早期の買い替えが必要です。
予期せぬ出費を防ぐためにも、熱負荷を正確に把握して空調設備を選定しましょう。
熱負荷は、空間の用途、建物の構造、地域、在室人数など、さまざまな要因によって大きく変動します。そのため、それぞれの建物や空間ごとに冷房負荷と暖房負荷を個別に算出しましょう。
熱負荷の算出にあたっては、「熱負荷とは」の項目で紹介した冷房負荷と暖房負荷の各要素をそれぞれ計算し、その総和を求めます。しかしこの計算式は非常に複雑で、専門的な知識がないと正確な計算は難しいのが現状です。
そこで、熱負荷の正確な把握と適切な空調設備の選定には、空調メーカーなどの専門家への相談をおすすめします。専門家であれば豊富な経験と知識を活かし、建物の特性や使用状況を考慮したうえで、最適な熱負荷計算と機器選定を行うことが可能です。
パナソニックでは、熱負荷の簡易的な計算からそれに応じた機器の選定まで、トータルなサポートを提供しています。空調・換気設備の導入や交換をご検討の際は、お気軽にパナソニックまでご相談ください。
熱負荷の概要を紹介したうえで、その重要性や確認方法について紹介しました。熱負荷とは室内の温湿度を一定に保つために必要な熱量のことで、建物の構造や用途、在室人数など、さまざまな要因によって変動します。
熱負荷を踏まえて適切な空調設備を選ぶことは、快適な室内環境の実現、エネルギー効率の向上、そして機器の故障リスク低減などのために重要です。しかし、熱負荷の正確な計算には専門的な知識が必要です。
そこで、専門家のサポートを活用することをおすすめします。パナソニックでは、熱負荷の簡易的な計算から、それに応じた機種選定、確認申請に必要な換気計算書の作成といった空調・換気設備の設計にまつわるサポートを無料で行なっています。
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