9月 18, 2024
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熱負荷の計算のやり方とは?算定に必要な項目ごとに求め方を紹介

熱負荷とは、室内の温湿度を一定に保つために必要な熱量を指します。快適な室内環境の実現や省エネ効果の向上、空調機器の早期故障を防ぐには、この熱負荷の計算が欠かせません。

熱負荷のおおよその目安は、単位熱負荷と室面積によって計算できますが、正確に知るためにはより多くの項目を用いるため、実際の計算は複雑です。

この記事では、熱負荷の計算方法について各項目ごとに詳しく解説します。

 

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熱負荷の求め方

熱負荷は、以下の計算式を用いることで、おおよその目安を求めることができます。


熱負荷(W)= 単位熱負荷(W/m2)× 室面積(m2)


しかし、熱負荷は建物の構造や使用用途によって大きく変わるため、より正確な計算には項目ごとの算定が必要です。これらの計算項目は、建築設備設計基準における空調熱負荷計算で定められています。

熱負荷の総和は、次の負荷をそれぞれ計算して算出します。

 

熱負荷の算定に必要な項目

詳細

構造体負荷

壁や床、天井などの建物の構造体から室内に侵入する熱貫流量(熱をどれだけ通過させるか)を示す値。


■計算式

構造体面積[m2]×熱貫流率[W/m2・K]×実効温度差[K]

ガラス面負荷

ガラス面を通して室内に侵入する熱貫流量「ガラス面通過熱負荷」と、日射によって室内に透過する「ガラス面日射負荷」がある。


■計算式

ガラス面通過熱負荷:

ガラス面面積[m2]×熱貫流率[W/m2・K]×隣の部屋との温度差[K]


ガラス面日射負荷:

ガラス面面積[m2]×標準日射熱取得[W/m2]×遮へい係数

照明負荷

照明からの発熱量


■計算式

照明器具の個数×照明器具の消費電力[W/個]

人体負荷

人体からの放熱量のことで、「顕熱」と「潜熱」がある。


顕熱=体から発生する熱(体の代謝によって生じる熱や活動によって生じる熱)

潜熱=蒸発した呼吸や汗に含まれる熱


■計算式

顕熱:人数×1人当たりの顕熱量[W/人]

潜熱:人数×1人当たりの潜熱量[W/人]

その他の室内負荷

家電製品やOA機器の稼働で発する熱の「機器負荷」など。


■計算式

消費電力[W/m2]×室面積[m2]×負荷率(≒0.6)

すきま風負荷

窓や扉から侵入してくるすきま風に含まれる熱のことで、「顕熱」と「潜熱」がある。


顕熱=すきま風の熱

潜熱=すきま風に含まれる水蒸気の熱


■計算式

顕熱:[cp]×[p]×[Δt]×[Q]

潜熱:[y]×[p]×[Δx]×[Q]÷[1,000]


cp:空気の定圧比熱(1) (J/(g・K))

p:空気の密度(1.2)(g/L)

y:水の蒸発潜熱(2,500)(J/g)

Q:すきま風の風量(L/s)

Δt:室内外乾球温度差(K)

Δx:室内外絶対湿度差(g/kg(DA))

外気負荷

換気によって取り入れられる室外の熱。


■計算式

 0.33×外気量[m3/h]×内外比エンタルピー差[kJ/kg(DA)]

ダクト及び配管表面からの負荷、空気漏洩による負荷、送風機及びポンプ運転による負荷、間欠空調による蓄熱負荷

ダクトやポンプから発生する熱。算出した熱負荷に対して、補正係数として以下の数値を乗ずる。


■計算式

・ダクト及び配管表面からの負荷:冷房時・暖房時ともに1.0~1.1


・空気漏洩による負荷:冷房時・暖房時ともに1.0~1.1


・送風機及びポンプ運転による負荷:冷房時は1.05、暖房は負荷の低減に寄与するため見込まない


・間欠空調による蓄熱負荷:冷房時1.1、暖房時1.0~1.1


なお、照明負荷、人体負荷、その他の室内負荷については、室内に熱を与える要素であるため、暖房負荷の計算では考慮しません。

 

まとめ

快適な室内環境づくりや電気代の削減、空調機器の故障リスク低減には、正確な熱負荷の計算が不可欠です。しかし、詳細な熱負荷を求めるには「熱負荷の求め方」で解説したように、さまざまな要素を考慮する必要があります。

複雑な熱負荷の計算に手間を感じるなら、専門家への相談がおすすめです。

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