今回の小規模ホール「つなぐホール」の設計以前に、田中葬具本店のホールの改修や代表の自宅の設計などを手がけていたという建築士の吉村さん。今回の「つなぐホール」の設計に関しては、代表から「いかにも葬儀会館という感じではなく、カフェのような明るい雰囲気にしたい」と要望があったそうです。

このような一風変わった建物にしたのは、事業再構築補助金を利用した「新規事業」として立ち上げたことも理由の一つ。「先進性」が要件であったこの補助金の利用のため、建築設計の立場から様々な工夫を行ったそうです。

事業再構築補助金を利用するための「先進性」を設計に落とし込んだ、具体的な工夫ポイントについてお聞きしました。

今までにない、先進的で洗練された葬祭会館を目指して、代表からは『ホテルライク』な高級感を出したいと要望がありました。

宿泊室 / 控室

実際にご利用されたお客様からは『今までの葬祭会館とはだいぶ雰囲気が違いますね』とご好評をいただいており、施主様もお喜びの様子です。

ご利用者は高齢者や障がいをお持ちの方が多いため、過ごしやすさが重視されました。
これらのバリアフリー対応は春日井市の『人にやさしいまちづくり条例』に適合しています。

通路に段差のないフラットな空間

バリアフリー対応については、苦労された点もあったそうです。

床下に配管を通すスペースをつくると、通常はその分、床が高くなってしまいます。バリアフリーの場合はフラットにするために、配管スペース部分を掘り下げて二重床にする必要がありました。そこで吉村さんは、バスルームやトイレの床を掘って基礎から仕込むようにしました。

補助金の要件である「先進性」の実現のため、また、施主様のご要望の１つであった換気量の増加のために、設備導入を決められています。

天井埋込形ジアイーノの導入

全熱交換器の導入

空調機の配置

生外気が入らないため、空調の効率が下がらないことも重要なポイント。
施主様には「室内の温度が一定でクリーン、快適である」とご好評いただいているそうです。

また、このような最新設備の導入に加え、建物面積が縮小され、エアコン台数やLEDの導入等の見直しを行ったこともあり、電気代の削減にもつながり、コスト面でもご満足いただけているそうです。