クリニックを開業するためには、膨大な費用が必要となります。しかし、少しでも補助を受けられるなら、それは大きな助けになるでしょう。本記事では、クリニック開業時に利用できる可能性のある補助金や助成金について解説します。
調べ方や申請時におさえておきたいポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
補助金と助成金の違い
補助金と助成金は、管轄機関と対象が異なります。補助金の管轄は経済産業省で、ITや研究開発などの特定分野が対象となります。受給には審査が必要で、受給要件に該当していても審査に落ちると受給することができません。一方、助成金は厚生労働省の管轄で、主に労働や雇用に関する費用をサポートするものです。原則として、国や地方自治体が提示した受給要件を満たしていれば、誰でも受給することができます。
クリニック開業時に適用可能な補助金と助成金の種類
近年、クリニック開業時の補助金や助成金の活用は厳しい状況ではありますが、以下に適用できる可能性のある5つの補助金や助成金を紹介します。地方自治体によっては、独自の支援制度がある場合もありますので、開業時に自治体に確認することをおすすめします。
1.小規模事業者持続化補助金
小規模事業者が自社の経営を見直し、持続的な経営に向けた経営計画を策定した上で行う販路開拓や生産性向上の取り組みを支援する補助金です。例えば、ホームページやパンフレット制作など広報活動に利用することができます。ただし、本補助金は開業後に行う場合に限られます。開業時にホームページを持っていなければ、患者に見つけてもらうことが難しくなります。利用を検討する際は、運用上のメリット・デメリットを考慮する必要があります。
2.ものづくり補助金
中小企業などが生産性を向上させるために行う設備投資を支援する補助金です。例えば、革新的なサービス開発、試作品の開発、生産プロセスの改善を図った取り組みなどに利用できます。本補助金は、既に事業を開始しており、新しい設備投資を行う予定がある場合にのみ利用できます。また、個人事業主が対象となり、医療法人は利用することができません。
補助金は5年間のモニタリングが必要であるため、5年間以内に医療法人になる予定がある場合は、返金を求められる可能性があります。例えば、最初に個人事業主として1,000万円の補助を受けて3年後に医療法人になった場合、残り2年分に該当する400万円は返還を求められる可能性があります。補助金を受け取って設備投資を行うことはできますが、返金の可能性がある点には注意が必要です。
3.IT導入補助金
中小企業や小規模事業者が、自社の課題やニーズに合ったITツールを導入し、業務効率化や売上アップを図ることを支援する補助金です。例えば、電子カルテや自動精算機の導入などが対象となります。申請の際には、補助金を活用したことでどのような変化が期待できるのかを説明する必要があるため、開業のタイミングで利用するのは難しいかもしれません。
4.事業承継・引き継ぎ補助金
事業承継を契機として新しい取り組みを行う中小企業者等、および事業再編、事業統合に伴う経営資源の引き継ぎを行う中小企業者等を支援する補助金です。クリニックでは、完全に自費で事業を引き継ぐ場合にのみ利用することができます。保険内事業は対象外となるため注意が必要です。
5.キャリアアップ助成金
有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といったいわゆる非正規雇用の労働者のキャリアアップを支援するための助成金です。正社員化や処遇改善の取り組みを実施した事業主をサポートします。一人につき最大57万円程度が助成されます。例えば、採用時は有期雇用で採用し、半年後に無期雇用に変更となると、キャリアがアップしたことになるので対象になります。入社時の条件等により徐々に厳しくなっているため、不正受給とならないように社労士としっかりと相談する必要があります。
クリニック開業時に使える補助金・助成金の調べ方
補助金・助成金について調べる際は、「J-Net21」というサイトを参考にするのがおすすめです。このサイトには、厚生労働省や経済産業省が発表する全国の補助金・助成金情報がまとめられています。また、市町村ごとに出している情報も掲載されています。定期的にチェックし、自院に活用できるものがないか確認しましょう。補助金や助成金は個人でも応募することはできますが、サポートが必要な場合は社労士や税理士などの専門家に依頼するのも良いかもしれません。
クリニック開業時に補助金・助成金を申請する際のポイント
助成金は要件を満たせば受け取ることができますが、補助金は基本的に審査に通過する必要があります。小規模事業者持続化補助金、ものづくり補助金、IT導入補助金などに申請する場合、作文が必要になります。作文では、この事業を行うことでどのような還元があるのか、論理的に説明しなければなりません。例えば、歯科分野であれば、「マイクロスコープを使用することで、歯科医師が勤務を60歳定年から65歳まで延ばすことができる」といった具合です。オリジナリティとストーリーの両方を大切に作文しましょう。
まとめ
以上、本記事ではクリニック開業時に利用できる可能性のある補助金や助成金についてお伝えしました。補助金や助成金は常に利用可能というわけではなく、ほとんどの場合、締め切りが設定されています。時間に余裕を持って丁寧に準備を進めていきましょう。ご紹介したもの以外でも、開業のタイミングに合わせて自治体ごとに利用できる補助金・助成金があるかもしれませんので、ぜひ探してみてください。
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記事監修:MESプロモーション株式会社