7月 18, 2023
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クリニックの清潔で快適な環境を支える空調・換気設備。コスト削減のための導入と管理のポイント

室内の温湿度の調整や換気・におい対策に欠かせない空調・換気設備は、運用・管理の手間や省エネなどの観点からも吟味を重ねて選ぶことが大切です。中長期的に見ると、その選択がコストを抑えつつ清潔で快適な院内環境を維持することにつながります。本記事では、クリニックにおける換気・空調設備の重要性と設備導入・管理のポイントを解説します。

 

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クリニックにおける換気・空調管理の重要性  

クリニックにとって、訪れる患者さんの衛生面、快適性を確保するための環境整備が不可欠です。コロナ禍では、感染対策としての温湿度管理、換気の重要性が改めて見直されました。そうした状況下で、空調や加湿器、無駄に熱を捨てない全熱交換器※1などの換気設備が効果的に活用されています。

 

※1排気時に空気と一緒に捨てていた熱を給気時に回収して室内に戻すシステムのこと。給気時の空気の温度を排気時の室内温度に近づけた状態での換気が可能。

 

コロナ禍を経て重視される換気対策  

クリニックでの適切な換気方法や換気量を考える際の手がかりとなるのが、公的機関から発表されている感染拡大防止のための換気対策です。以下は、日本医師会監修の「外来診療をおこなう既存小規模医療機関を対象とする換気及び暖冷房について」において推奨される換気基準や設計ルールの概要です。  

 

  • 目標換気量は、在室1人当たり30㎡/h 
  • 「医療従事者エリア」と「患者エリア」に分け、境界はビニールシート等で区切る。 
  • 換気の経路における風の流れは、「医療従事者エリア」を風上側とする。 

換気量が不足する場合には、換気扇の追加、HEPAフィルター※2付き空気清浄機の導入、常時の窓開け(5〜15cm程度)といった対策も挙げています。 

 

※2 High Efficiency Particulate Airフィルターの略で、極めて目の細かい不織布のフィルターをひだ状に折り畳んだもので、0.3µmの粒子を99.97%以上を捕集する高性能なフィルター

 

 

院内の温湿度管理になくてはならない空調  

快適な温湿度の維持は院内の環境整備の基本です。 

室内の適温は季節によっても異なり、目安として夏期は25~27度、冬期は20~22度が一般的といわれています。加えて、湿度は40%以下だとウイルスへの感染を招き、60%以上になるとカビ・ダニの発生原因となるため、湿度管理の目安は40〜60%とされています。 
 
室内の温湿度の感じ方は、患者さんの体調や年齢にも左右されることから、それぞれにとっての快適さを考慮しながら微妙な調整が求められる場面もあります。そうした時も、自動調整機能のある空調機器があれば、温湿度管理の助けとなるでしょう。 

 

 

院内に漂う嫌なにおいも脱臭機能のある機器と換気で対策  

薬品や排泄物から発生するにおい問題も、クリニックによく見られる課題の一つです。院内にまん延する嫌なにおいは、患者さんの快適性を損なう恐れもあります。 


このようなにおいに関するお悩みは、 
  • 脱臭機能も備わった空調 
  • 脱臭性能に優れた空気清浄機 
  • 換気方法の見直し

などにより、改善を目指せます。

 

 

 

クリニックの空調・換気の効率と快適な環境を両立する設備導入と管理のポイント   

空調・換気設備は、吟味せずに選んだり、適切なお手入れやメンテナンスを怠ったりすると、十分な費用対効果を得られない場合もあります。長い目で見て効率的かつ効果的に使用するために、ポイントを押さえた選び方や管理方法を知っておくことが役立ちます。  

 

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1.お手入れやメンテナンスの負担が軽い設備を選択  

日常業務の効率化を図る上で、設備のお手入れとメンテナンスにかかる手間は看過できない要素です。 

空調・換気機器や空気清浄機は、長く使っていると内部にほこりや汚れが付着し、それを放置すれば機能が低下する恐れもあります。また、お手入れが複雑な設備は、スタッフの清掃にかかる負担を増大させます。加湿器には定期的な給水も必要です。 

その意味でも、これらの機器を選択するときには、「部品の清掃、給水などの操作は簡単か」、「フィルターの交換サイクルは短くないか」といった観点からの吟味も大切です。 

 

 

2.湿度管理は自動コントロール機能もあると便利

エアコンや加湿器を設置していたとしても、調整のために逐一各部屋を回らなければいけないとすれば、効率的とは言えません。 
 
特に、湿度は季節・気象条件に左右されやすいことから、加湿は微調整に手間がかかるケースもあるのではないでしょうか。そのような時も、室内の温湿度をリモコンなどで一括自動コントロールできる設備があれば、管理の手間を省けます。 

 

 

3.しつこいにおいは脱臭機能に優れた空調・空気清浄機で解決  

 疾患を抱えた患者さんの中には、においに敏感な方もいらっしゃいます。 

もし院内にはびこるしつこいにおいが払拭できない場合には、脱臭機能のある空調や空気清浄機の導入が、においの除去に効果的です。空気の質を高めることで、においが気にならない環境づくりを行えるでしょう。  

 

 

4.エネルギー効率の良い空調・換気計画を立案  

設備の位置や数を調整し、スムーズに給気から排気まで行える空調・換気計画を立てる施策も有効です。その一例として、各部屋に給気と排気の設備を置き、院内に張り巡らせたダクトを通じて給排気を行う方法が挙げられます。 

その際、冷暖房で調整した空気を換気で全て入れ替えてしまうとエネルギー効率が悪く、その分、電気代もかさみます。そのような課題解決に活用されているのが、排気時に熱エネルギーを回収し、給気時に戻す全熱交換器です。空調・換気計画に全熱交換器を組み込むことで、より高い省エネ効果と、それによるコスト削減を期待できます。  

 

 

 

空調・換気の効率的な管理でクリニックに快適で清潔な環境を  

空調・換気設備の中には、導入費用が安価だとしても、中長期的に見るとお手入れの負担やメンテナンスコストがかかる製品もあります。その結果、設備の整備を怠り、本来の目的である「患者さんやペットが清潔・快適に過ごすための機能」をきちんと稼働させられないとすれば、本末転倒です。そのため、空調・換気設備を選ぶ際は、運用・管理まで想定した吟味を重ねることが大切です。 

加えて、クリニックはリソースが限られている場合も多く、省エネで快適な空間を効率的に維持できる製品を選ぶ視点も必要でしょう。 

パナソニック空質空調社では、空調・加湿・除菌・脱臭機能のほか、全熱交換器も搭載した業務用空調空質連携システムを通じて、お客様の状況に合った省エネで快適な空間のご提案を行っております。空調設備のご相談は、ぜひお気軽にお寄せください。