開業時には新規の飼い主様の集患が重要です。彼らを集患ができるかできないかが、動物病院の業績を大きく左右するといっても過言ではありません。
新患数の目標
獣医師1名に対し、月に50名の新患が集患できれば理想的ですが、少なくとも30名以上はコンスタントに集患することが大切です。新患数が増えれば、再診の飼い主様も自然と増えていき、業績が上がりやすくなります。
また、昨今の動物病院における新患経路の過半数はホームページ経由です。よって、良質なホームページ制作を最優先に実施していきましょう。
ホームページ
オンライン集患の中で、最も効果が高い集患方法は「ホームページ」によるものです。動物病院の中にはホームページをもっていない病院もありますが、これは全く賢明とは言えません。前述の通り、動物病院における新規集患の過半数をオンライン集患が占めると記載しましたが、そのうち90%以上がホームページをみて来院しています。そのため、必ずホームページは制作しましょう。
ただし、ホームページといっても飼い主様の集患に繋がるクオリティの高いホームページの制作をしなければ意味がありません。飼い主様にわかりやすく、病院の魅力が伝わりやすいホームページ作りのポイントは下記になります。
ポイント①:充実した内容であることが重要
ホームページの内容が充実しているかどうかは、最重要ポイントです。必ず以下の内容を盛り込みましょう。
~ ホームページに盛り込むべき内容 ~
- 院長、スタッフ紹介
- 病院案内(アクセス、診療時間など)
- 院内の紹介(設備や内装など)
- 診療内容
- 料金表
- ブログ
1・2・3のページは、院長や院内設備や内装の写真を掲載し、よりわかりやすく伝えるようにしましょう。
4の診療内容ページは、単に診療科目を列挙するだけではなく、各科目についてよくある病気の症状、治療方法、予防方法、診療費用などについても文章を記載することが大切です。よって、1つの診療科目につき1ページのボリュームになるでしょう。
飼い主様がよく検索しているキーワードを入れた文章(コンテンツ)を入れることで、ホームページの検索順位(通称SEOと呼ばれる)が高くなり、より多くの飼い主様にホームページをみてもらうことに繋がります。
下記を注意しながらコンテンツを作成するようにしましょう。一ページ当たりの文字量は1,500文字以上が目安です。
🗒️飼い主様がよく検索するキーワードを含める🗒️
よく検索されるキーワードで上位表示されることで、集患力が大きく上がります。
- 病気関連ワード(例:犬 皮膚 病)
- 手術関連ワード(例:犬 去勢 手術)
- 症状関連ワード(例:犬 血便)
- 予防(例:犬 フィラリア予防)
🗒️内容一例:歯科ページの場合に作成するページ🗒️
上位表示を狙うには、専門性の高いコンテンツを充実させていくことも重要です。
- 歯周病とは
- 歯周病の原因とは
- 犬猫の歯周病の診断方法
- 治療方法
- 手術時の注意事項
- 歯周病の予防方法
また、飼い主に伝わりやすくするために診療内容については症状や飼い主様の目的別の構成にしましょう。例えば以下です。
~ 予防について ~
- 健康診断
- ワクチン、フィラリア、ノミマダニ予防
- 避妊手術(女の子)、去勢手術(男の子)
- 歯科(デンタルケア)
- 嘔吐
- 下痢
- 各種感染症
- 体のしこり
- 皮膚の異常
- 慢性腎臓病
1項目につき1ページ設計となるため、合計で10ページとなります。ページ数を増やせない場合は、いくつかの診療科目をまとめても良いですが、コンセプトに合わせて注力したい診療科目においては1ページで内容を充実させると良いでしょう。
また、料金表は必ず掲載するようにしましょう。すべての診療単価を掲載する必要はありません。
ホームページに掲載するべき主な項目は以下です。
また、飼い主に伝わりやすくするために診療内容については症状や飼い主様の目的別の構成にしましょう。例えば以下です。
~ わかりやすい料金表の内容 ~
- 初診料、再診料
- 超音波診断やレントゲン撮影、血液検査などの検査料
- 避妊手術、去勢手術などの手術料、
- 健康診断、ワクチン、予防薬などの予防料
料金表を飼い主様が来院する前に事前に把握することで、支払総額のイメージが付きやすくなり飼い主様の安心感につながります。支払いトラブルの回避にもなります。
6.のブログ更新も検索順位向上を目指す際には極めて重要です。ブログといっても、動物病院から のお知らせのようなものではなく、飼い主様が知りたいと感じている動物の病気や動物の生態に関 することなど獣医療情報(例:なぜ猫は毛玉をよく吐くのか?など)を発信するようにしましょう。最低でも月に1回、定期的にブログを更新することで検索順位への効果が期待できます。
ブログ更新を継続しても、1年以上検索順位が10位内に上がらないようであれば、抜本的な対策が 必要になりますので、精通した企業・業者など外注することも検討しましょう。
ポイント②:洗練されたデザインであることが重要
直感的に洗練されている、綺麗なデザインを目指しましょう。親しみやすい病院を目指すためにかわいらしい雰囲気にしたり、医療技術の高度さをアピールするためにクールな雰囲気にしたりなどコンセプトに合わせてデザインをしてもらえるホームページ制作会社がよいでしょう。
ホームページ制作会社によってはデザインや保守対応のクオリティには大きな違いが表れるので、しっかりと制作会社を選定していくことが重要です。
🗒️優良なホームページ制作会社の選び方🗒️
ホームページ制作会社との関わりの中では、高額な費用を請求するわりに対応が遅い、間違いが多 いなどのトラブルになるケースも多くあります。そのため、会社選びは慎重に行いましょう。 また、動物病院のホームページ制作実績が多いからといって、優良とは限りません。ご自身の予算 に合うか、制作実績のホームページのクオリティはどうかなど総合的に判断します。
🗒️ホームページ制作費用相場🗒️
ホームページ制作会社との関わりの中では、高額な費用を請求するわりに対応が遅い、間違いが多 いなどのトラブルになるケースも多くあります。そのため、会社選びは慎重に行いましょう。
また、動物病院のホームページ制作実績が多いからといって、優良とは限りません。ご自身の予算 に合うか、制作実績のホームページのクオリティはどうかなど総合的に判断します。
WEB広告
ホームページは制作して終わりではありません。制作完了後、より多くの飼い主様にホームページへアクセスしてもらうことが大切です。
飼い主様が検索エンジン(GoogleやYahoo!など)で動物病院を検索した際に、ご自身のホームページが飼い主様の目につくように上位表示されるまでには数か月期間を要します。しかし、開業直後はできるだけ、予約を埋められるようにしなければいけません。
よって、ホームページへのアクセスを増やすためにWEB広告を行うことをおすすめします。WEB広告にはいくつか種類がありますが、最もメジャーで効果が高いものがGoogle広告です。これは、Googleを検索している特定の飼い主様に対して広告を出すものです。
ポイント①:Google広告の仕組みを理解する
広告を表示させる範囲、年齢、性別、検索キーワードを絞り込むことができます。誰にでも表示させるわけではなく、ご自身の病院に通っていただける範囲にお住まいの方で、かつ動物病院を調べている(動物病院に通院を検討している)方にのみ表示させられるため、非常に効率的です。
Google広告は検索結果の上位に表示されます。上位の中でも設定している予算が高いか、広告設定の質が良質かなどによって掲載順位が変動します。
表示させることに広告費用が掛かるものではなく、ユーザーがクリックした際に1クリックあたりに対して広告費用が消化されます。動物病院業界では、現時点では1クリックあたり平均50円ほどです。他にも多くの動物病院も同じくGoogle広告を設定すれば、1クリックあたりの単価が引きあがることがあります。月額予算を予め設定でき、それ以上予算を超過しないような仕組みになっているので安心です。
ポイント②:WEB広告の費用対効果が合うか?を確認する
結論、WEB広告は費用に対して充分に集患ができるといえます。
例えば、予算5万円で広告を出した場合、クリック単価50円だとすると、1,000クリックされます。動物病院では一般的に100クリックに1件が来院するような反響率になりますので、10件は来院されることになります
広告経由で来院した飼い主様が継続的に通院することを考え、1頭当たりの犬の年間支出が約10万円ですので、10件×10万円=100万円の売上が5万円の広告費用に対してもたらされることになります。
ただし、これはあくまでも継続して通院していただいたり、予防医療を受けていただいたりする場合の予測です。そのため、広告費用を多くかけたからといっても、通院が中断してしまっては広告費用が無駄になりますので、集患した後の継続来院につながる取り組みも同時に行っていきましょう。
監修者プロフィール
ねこのタミ 代表取締役 / 開業・経営アドバイザー 辻 建三氏
立命館大学経済学部卒業。経営コンサルティング会社の医療グループ内の中途社員では、最速且つ初のチームリーダーに昇格。動物病院チームを立ち上げ、クライアント先の業績を平均で120%伸ばしており、持続安定的な病院経営づくりのコンサルティングを実施。自ら動物病院を開業し、そこから得たノウハウで開業・経営アドバイザーを実施。