プランの実現に苦労…?!  と思いきや、容易に扱えた！
意外と省施工で扱いやすい「天井埋込形ジアイーノ」

森さん：当社はスーパーマーケットなどの全般的なメンテナンスや設置工事を行っています。依頼の中で多いのは空調システムやショーケース、電気設備のメンテナンスなどですが、害虫駆除の依頼などもあります。空調システムとしては、電気やガスによって駆動する大型業務用エアコン（VRF）や店舗業務用エアコン（PAC）などを主に取り扱っています。

緒方さん：大阪センターは近畿一円からの依頼に対応しており、代表的な施工例としては、泉佐野市役所の空調システム全般の入れ替え工事などが挙げられます。取り扱っている機器は各メーカー全般ですが、パナソニックさんの機器が 7 割以上を占めていますね。

課題としては、労働力の不足が業界全体で挙げられます。また、現場で作業を見て覚えなければならないので、なかなか人材が育たないという点も課題でしょう。しかしながら、幸いなことに当社では人材の確保はうまくいっていますし、姫路に研修センターもあるので人材育成もうまくいっています。

緒方さん：その姫路の研修センターには大空間もあり、大規模な施設に設置されるような大型の機器も設置されています。この研修センターで研修を受けることによって、仕事を早く覚えられるわけです。それとは別に、パナソニックさんは動画で施工方法を解説してくれていますので、我々も助かっていますね。

緒方さん：天井に開口部を作り、ジアイーノと全熱交換器を運んで天井裏に設置し、ナノイーX搭載業務用空調機を天井に埋め込むという作業です。ジアイーノへは天井に設けた還気口 4 箇所から室内の空気を取り込み、同じく天井に設けた給気口 7 箇所からきれいな空気を送り出します。この還気口と給気口は部屋の片方の端に沿ってそれぞれ配置されており、気流が 1 方向へと生じる仕組みになっています。

森さん：同じく全熱交換器も天井に還気口と給気口をそれぞれ 4 箇所と 7 箇所設けています。全熱交換器は室内の汚れた空気を建物外へ排気し、外から新鮮な空気を取り込む給気を行いますが、今回のシステムを設置する前までは、建物の同じ面に排気口と給気口が作られていました。これではせっかく排出した空気を取り込んでしまうことになるので、今回は排気口と給気口は別々の外壁面に離して作る施工をしました。

森さん：ジアイーノには給水も必要なのですが、それも自動で行うために水道との接続も必要になります。今回は条件が整っていたので、配管は楽でしたね。また、ジアイーノ自体が比較的小さくて扱いので、施工自体は楽でした。施工開始から試運転完了まで 5 日程度で、常識的なスケジュール内に収まりました。

森さん：施工前には図面をいただき、機器の配置やダクトの経路等を事前に確認します。そうすることでスムーズに作業は進むのですが、現場を見てみると想定した設置場所に機器を置けない場合もあります。

緒方さん：天井裏には建物を支える梁などが張り巡らされています。これによって、想定していた場所に機器を設置できないことがあるのです。梁をおいそれと切断するわけにはいかないので、躯体を傷つけないように設置場所を変更することも必要になります。

森さん：また、ジアイーノも全熱交換器も空気を送るダクトが必要で、天井裏にそれが広範囲に張り巡らされることになります。ダクトは短いほうが施工がやりやすいですから、できるだけ短くなるように現場で調整する必要があります。

緒方さん：先程ジアイーノには給水も必要であることが言及されましたが、水道の配管が思うようなところにない場合には、それを延長する工事も必要になります。今回は天井裏には十分な高さがあって作業をしやすかったのですが、天井裏のスペースが狭い場合には、機器の設置やダクトや水道管の配管などで苦労をする場合もあるでしょうね。

森さん：施設によっては、空気の吹き出し先の部屋に動かせない家具がある場合もあります。そうなると設置作業に支障が生じますし、気流の計算も難しくなる可能性もありますね。

森さん：お客様の指定がない限り、施工する側としては提案をしてくれるメーカーに機器を統一したいと考えます。それは、換気や空気清浄の連動の制御がしやすく施工しやすいということ、メンテナンス性にも優れているというメリットがあるからです。機器と機器との通信も安定しますね。

緒方さん：逆に、機器の入れ替えの際などにメーカーが変更されると、接続部の位置が違う場合があり、困ったことになる可能性もあります。空調システムを導入する際は、最初からできるだけ同じメーカーの機器でそろえるほうがよいでしょうね。

森さん：今回のジアイーノは、施工する側にとっては本体が小さくて取り回しのしやすい、良い機器だと感じました。パナソニックさんには今回のような商品の良さを伝える機会をもっと作っていただき、かゆいところに手が届くような提案や対応をしてもらいたいですね。