全熱交換器は、室内と室外の空気の入れ替え時に熱移動を行い、室温との差が少ないクリーンな空気を室内に送り込む換気機器です。
近年では、快適な室内環境を実現するだけでなく、省エネやCO2排出量の削減にも貢献することから、注目を集めています。
この記事では、全熱交換器の必要性やメリットを紹介します。実際に全熱交換器を導入した場合の効果をパナソニックの事例をもとに解説していますので、導入を考えている方はぜひご確認ください。
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■この記事でわかること
- 全熱交換器の必要性
- 全熱交換器のメリット
- 全熱交換器を導入した場合の効果・事例
全熱交換器の必要性
全熱交換器とは、室内と室外の空気の入れ替え時に熱移動を行い、室内温度との差が少ないクリーンな空気を室内に送り込む換気機器です。
全熱交換器は、換気による冷気や熱気の侵入が少ないため、「寒い」「暑い」といった理由による換気不足を防ぎます。
換気は有害物質の室外への排出や、カビ・結露の発生防止など、私たちの健康を守る上で欠かせないものです。適切な換気を行える全熱交換器は、室内環境を安全かつ快適な状態に保つうえでも重要な設備と言えるでしょう。
さらに、換気による室内の温度変化の減少により、空調負荷の約30%程度(※1)を占める外気負荷の低減にもつながり、省エネやCO2排出量の削減にも貢献します。
※参照:全熱交換器によるCO2削減と省エネ効果の実測例|一般社団法人 日本冷凍空調工業会
全熱交換器のメリット
全熱交換器の主なメリットは、以下のとおりです。- 季節や天候に左右されずに換気を行える
- 安定的な換気量の確保が可能になる
- 省エネにつながる
特に、省エネ効果は他の空調設備との連携で最大約52%(※)の削減が期待できるため、月々のランニングコストを減らしたい人にも魅力的です。その他のメリットについても詳しく見ていきましょう。
※当社シミュレーションによる。実際の効果は使用条件により異なります。
季節や天候に左右されずに換気を行える
全熱交換器を使用することで、夏や冬、雨や雪といった季節・天候に左右されずに安定して換気を行えるため、1年中快適な室内環境を保つことに貢献します。
例えば、暖房が効いた部屋を換気する場合、全熱交換器を使用しないと冷たい外気が入り込むことで室内温度が下がり、不快になりがちです。
しかし、全熱交換器を導入することで、外気を室温に近づけて室内に取り込むため、室温の変化を抑え、快適な状態で換気を行えます。
安定的な換気量の確保が可能になる
窓の開放による換気は、換気量が自然の風圧や室内外温度差によって左右されるため、安定した換気量が確保できません。しかし、全熱交換器であれば、1時間あたりの換気量を設定できるため、いつでも安定して換気を行えます。
また、必要な換気量は室内に滞在している人数や活動量によって変わりますが、全熱交換器とCO2センサーを連携することで適切な換気量をキープすることも可能です。
省エネにつながる
上述のとおり、全熱交換器は空調負荷を30%程度(※1)低減できます。
全熱交換器を使用せずに窓を開けて換気を行うと室内の温度が室外に逃げてしまうため、室内の温度を維持するためにエアコンの電力を大きく消費してしまいます。
※1:参照:全熱交換器によるCO2削減と省エネ効果の実測例|一般社団法人 日本冷凍空調工業会
しかし、全熱交換器は給気と排気で熱を交換するため、室外から給気される空気は室内に近い温度です。そのため、空調負荷が低減できます。
パナソニックでは、全熱交換器+天井埋込形ジアイーノ+業務用空調の3つの設備を一体化した「業務用空質空調連携システム」で、消費電力削減をサポートし、より快適な環境づくりに取り組んでいます。
3つの設備の連携によって、従来の第3種換気と比較して最大で52%もの消費電力の削減が可能です(※2)。ほかにもIAQセンサーとの連動によってCO2濃度で換気量を切り替えるなど、3つの空調設備の連携も強化されています。
※2:当社シミュレーションによる。実際の効果は使用条件により異なります。
パナソニックの熱交換ユニットは、天井埋込形、天井カセット形、床置形をラインナップしており、用途や設置場所に適した提案が可能です。どの機種にしようか検討中の方はぜひお気軽にご相談ください。
全熱交換器を導入した場合の効果・事例
ここでは、パナソニックの全熱交換器を導入した場合の効果を地域別に紹介します。以下のグラフは、全熱交換器の未導入と導入した場合の支出金額の差をシミュレーションしたものです。
■全熱交換器による金額・回収計算
引用元:https://www2.panasonic.biz/jp/air/fan/netsuko/
このように札幌のような寒冷地ほど節約効果が大きいのは、暖房の利用頻度が多く、室内と室外の温度差が大きいことが理由です。ほかにも、暖房のほうが冷房よりも稼働負荷が大きいこともあげられます。
全熱交換器の導入事例は下記のページでも紹介しているため、気になる方はこちらも併せてご確認ください。
まとめ
全熱交換器は、快適な室内環境を実現し省エネにも貢献する設備です。季節や天候に左右されることなく、安定した換気を確保できるため、快適な空間づくりに役立ちます。さらに、パナソニックの「業務用空質空調連携システム」のように、他の設備との連携によって省エネ効果を高めることも可能です。
ただし、用途や設置場所によって適切な全熱交換器は異なるため、導入を考えているもののどういった機種を選んだらよいのか、どう全体設計をしたらよいか分からないケースもあるでしょう。導入に関して悩む部分がある場合、専門家への相談をご検討ください。
パナソニックでは、全熱交換器のほか業務用空調も取り扱っています。換気計算・機種選定・気流の設計や各種シミュレーションなど、空調・換気設備設計に関して無料でサポートいたします。
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