空調の「馬力」とは、エアコンの能力やパワーを表す単位のことです。業務用エアコンなどの空調の機種選定を行う際には、空調能力を示す馬力に着目することが大切です。ただし、馬力は大きければ大きいほど良いというものではありません。
使用する場所に合った、過不足のない馬力を持つ空調を選ぶことで、快適性の向上や電気代の最適化、早期故障の防止にもつながります。本記事では、業種別の空調馬力の目安や、適切な馬力を備えた空調を選ぶ理由について解説します。
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▼目次
【業種別】空調の馬力の目安
業務用エアコンを選ぶときは「業種」や「発熱機器の有無」に応じて、馬力を検討する必要があります。店舗の広さが同じであっても、業種によって適した機種は異なるため、業種ごとの目安を参考にしましょう。
一般店舗
広さ |
馬力 |
形名 |
22m² 前後(約6.5坪) |
1.5馬力 |
P40形 |
25m² 前後(約7.5坪) |
1.8馬力 |
P45形 |
27m² 前後(約8坪) |
2馬力 |
P50形 |
30m² 前後(約9坪) |
2.3馬力 |
P56形 |
34m² 前後(約10坪) |
2.5馬力 |
P63形 |
44m² 前後(約13.5坪) |
3馬力 |
P80形 |
61m² 前後(約18.5坪) |
4馬力 |
P112形 |
76m² 前後(約23坪) |
5馬力 |
P140形 |
87m² 前後(約26.5坪) |
6馬力 |
P160形 |
121m² 前後(約36.5坪) |
8馬力 |
P224形 |
152m² 前後(約46坪) |
10馬力 |
P280形 |
参照元:基礎知識 | パッケージエアコン | 空調・換気設備 | 電気・建築設備(ビジネス) | Panasonic
アパレルや日用雑貨品などを販売している一般店舗の場合、22m² 前後(約6.5坪)あたり1.5馬力程度の空調が目安です。ただし、来店する顧客数や扱う商品数が多い場合は、空調の効きが悪くなる可能性があるため、馬力を少し多めに見積もった方がよいケースもあります。
また、冷蔵品や生鮮食品を取り扱う店舗の場合、馬力が足りないと商品に影響を及ぼす恐れがあるため、ランクを少し上げた方がよいでしょう。
理容店・美容室
広さ |
馬力 |
形名 |
16m² 前後(約5坪) |
1.5馬力 |
P40形 |
18m² 前後(約5.5坪) |
1.8馬力 |
P45形 |
20m² 前後(約6坪) |
2馬力 |
P50形 |
22m² 前後(約6.5坪) |
2.3馬力 |
P56形 |
25m² 前後(約7.5坪) |
2.5馬力 |
P63形 |
32m² 前後(約10坪) |
3馬力 |
P80形 |
44m² 前後(約13.5坪) |
4馬力 |
P112形 |
55m² 前後(約16.5坪) |
5馬力 |
P140形 |
63m² 前後(約19坪) |
6馬力 |
P160形 |
87m² 前後(約26.5坪) |
8馬力 |
P224形 |
110m² 前後(約33.5坪) |
10馬力 |
P280形 |
参照元:基礎知識 | パッケージエアコン | 空調・換気設備 | 電気・建築設備(ビジネス) | Panasonic
美容院・理容室では、16m² 前後(約5坪)あたり1.5馬力が目安です。照明により店内を常に明るい状態に保っており、室温が高くなりやすい特徴があります。
ドライヤーやパーマ機から出る熱の影響もあり、比較的高めの馬力が必要になることが多いです。また、顧客が長い時間、同じ場所に着席していることが多いため、冷房などの風が直接当たり続けないように配慮する必要があります。
馬力だけでなく、送風や温度ムラをコントロールできる機能なども重視して、空調の機種を選びましょう。
飲食店
広さ |
馬力 |
形名 |
14m² 前後(約4坪) |
1.5馬力 |
P40形 |
16m² 前後(約5坪) |
1.8馬力 |
P45形 |
18m² 前後(約5.5坪) |
2馬力 |
P50形 |
20m² 前後(約6坪) |
2.3馬力 |
P56形 |
22m² 前後(約6.5坪) |
2.5馬力 |
P63形 |
29m² 前後(約9坪) |
3馬力 |
P80形 |
40m² 前後(約12坪) |
4馬力 |
P112形 |
50m² 前後(約15坪) |
5馬力 |
P140形 |
57m² 前後(約17坪) |
6馬力 |
P160形 |
79m² 前後(約24坪) |
8馬力 |
P224形 |
100m² 前後(約30坪) |
10馬力 |
P280形 |
参照元:基礎知識 | パッケージエアコン | 空調・換気設備 | 電気・建築設備(ビジネス) | Panasonic
飲食店では、16m² 前後(約5坪)あたりで1.8馬力程度が目安となります。キッチンで調理を行う際に発生する熱により、客席の温度が上がりやすいためです。
キッチンで使う火力が強い場合や、焼肉屋・お好み焼き屋など客席でも火を扱う場合には、目安より少し高めの馬力を持つ機種を選ぶほうがよいでしょう。
オフィス・事務所
広さ |
馬力 |
形名 |
30m² 前後(約9坪) |
1.5馬力 |
P40形 |
33m² 前後(約10坪) |
1.8馬力 |
P45形 |
36m² 前後(約11坪) |
2馬力 |
P50形 |
41m² 前後(約12.5坪) |
2.3馬力 |
P56形 |
46m² 前後(約14坪) |
2.5馬力 |
P63形 |
59m² 前後(約18坪) |
3馬力 |
P80形 |
82m² 前後(約25坪) |
4馬力 |
P112形 |
102m² 前後(約31坪) |
5馬力 |
P140形 |
117m² 前後(約35.5坪) |
6馬力 |
P160形 |
164m² 前後(約49.5坪) |
8馬力 |
P224形 |
204m² 前後(約61.5坪) |
10馬力 |
P280形 |
参照元:基礎知識 | パッケージエアコン | 空調・換気設備 | 電気・建築設備(ビジネス) | Panasonic
オフィス・事務所では、30m² 前後(約9坪)あたり1.5馬力が目安です。一般的なオフィスや事務所は障害物が少なく、比較的、空調効率が良好です。
ただし、パソコンやコピー機といったOA機器からの発熱が多いオフィスや、従業員数が多いオフィスであれば、その分室温が上がりやすくなるため、目安よりも馬力を上げる必要があります。
クリニック・動物関連施設・介護施設・幼保/教育施設
広さ |
馬力 |
形名 |
24~35㎡(14~20畳) |
1.5馬力 |
P40形 |
26~39㎡(14~22畳) |
1.8馬力 |
P45形 |
29~43㎡(16~26畳) |
2馬力 |
P50形 |
33~49㎡(20~28畳) |
2.3馬力 |
P56形 |
37~55㎡(22~32畳) |
2.5馬力 |
P63形 |
47~70㎡(28~42畳) |
3馬力 |
P80形 |
66~97㎡(40~58畳) |
4馬力 |
P112形 |
82~122㎡(48~72畳) |
5馬力 |
P140形 |
94~139㎡(56~84畳) |
6馬力 |
P160形 |
132~195㎡(80~118畳) |
8馬力 |
P224形 |
165~243㎡(100~146畳) |
10馬力 |
P280形 |
197~291㎡(118~176畳) |
12馬力 |
P335形 |
※表はあくまでも目安です。建物、用途、発熱量等により負荷が異なります。冷暖房負荷計算が必要ですので、機種選定にあたってはご相談ください。
クリニック・動物関連施設・介護施設・幼保/教育施設における空調の馬力は、24〜35㎡(14〜20畳)あたり1.5馬力が目安となります。
馬力の目安は、それぞれの施設で同様ですが、冷暖房負荷を踏まえて機種を選定することが大切です。また、空調選びのポイントや注意すべき点は、各施設によって異なります。順番に見ていきましょう。
クリニック
クリニックには体調不良の方や子ども、高齢者などが集まるため、直接送風が当たるのを避け、湿度を適切に保つことが重要です。
センサーで、送風や湿度を自動コントロールできる空調だと安心できます。また、空気清浄機能付きの機種や、ウイルス抑制機能を搭載したタイプを選ぶとよいでしょう。
動物関連施設
動物関連施設の場合、動物の種類や品種、習性などによって適切な温度は異なります。例えば犬と猫、大型犬と小型犬では快適と感じる環境は違うでしょう。そのため、上記の表は、すべての生態に適した馬力ではないことを理解しておきたいです。
「呼吸の速さ」や「震え」といった健康状態を観察し、適切な空調を整えましょう。また、アンモニア臭などのニオイや、ほこりが溜まらないような換気能力も重要です。
介護施設
高齢になると体温調整機能が低下していくため、暑さや寒さを感じにくくなったり、筋肉量や基礎代謝の低下によって、夏季でも寒さを訴えたりします。
したがって、風が強く当たりすぎず、かつ弱すぎないように、ムラなく部屋全体に空調を行き渡らせることが必要です。利用者が過ごす場所や部屋によって、設定を変えられる機種を選びましょう。
加齢に伴い免疫力も低下するため、ウイルスを捕集・抑制できるタイプがおすすめです。
幼保/教育施設
オフィスやクリニックなどと比べて、幼保/教育施設は人が過密になるため、適切な換気能力を持つ空調選びが欠かせません。
ドアの開け閉めが少なく、空調が滞りやすい特徴もあるため、冷えすぎ・暖めすぎが起きないよう、最適な機種を選ぶことが重要です。集団での感染症を予防するべく、ウイルス抑制機能が搭載されたタイプを選びましょう。
適切な馬力の空調を選ぶ理由
ここからは、最適な馬力の空調を選ぶ必要性について説明します。
快適性の確保
部屋の広さや環境に対して空調の馬力が不足していると、冷暖房の効きが悪くなります。長時間空調をかけていても設定温度に満たず、なかなか快適な室温にならないケースも起きるでしょう。
オフィスでは従業員にとって、店舗や飲食店ではスタッフ・顧客にとって、不快な室温になってしまう恐れがあります。快適性を確保するためにも、最適な馬力の空調を選ぶことが必要です。
省エネにより電気代を最適化
使用場所に対して適切な馬力を持つ空調であれば、省エネにつながり電気代を最適化することが可能です。空調の馬力が足りないと、前述のように効きが悪く、常に強い出力で稼働させなくてはならないため、多くの電力を消費してしまいます。
逆に、必要以上に馬力の高い空調では、冷暖房の効きは良いものの電気効率が悪く、余分な電力を消費しがちです。電力消費の無駄をなくして電気代を適切に保つためにも、紹介した目安表や業種、使用場所の状況に応じた馬力を持つ機種選定が大切です。
早期故障の予防
馬力が不足した空調を最大出力で稼働させ続けていると、空調の心臓部であるコンプレッサーに過剰な負荷がかかり、早期故障の原因になります。使用場所に対して適切な馬力を備える空調であれば、コンプレッサーへの負担は適正内におさまるため、空調の寿命を早めにくいといえます。
コンプレッサーの交換は、空調修理のなかでもコストが大きい工事です。場合によっては、空調機器の交換が必要になるケースもあるため、そうした修理・交換のコストを抑えるためにも、適切な馬力を持つ機種を選定しましょう。
空調の機種選定はパナソニックに相談を
紹介した空調馬力の目安表は、あくまで一つの基準であり参考値です。空調を設置する場所や設置数、日当たりと照明、建物内の人数、熱を発する業務用機器などの環境によって、適切な機種は異なります。
最適な馬力や機種については、プロに相談して見積もりをとることを推奨します。馬力を含めた空調機器の機種選定にお悩みの方は、ぜひパナソニックに、お気軽にご相談ください。
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まとめ
使用する場所に合った過不足のない馬力を持つ空調を選ぶことで、快適性や省エネ、早期故障防止につながります。本記事で紹介した目安表を参考に、お客様の業種や環境に適した空調機器を選定しましょう。
パナソニックでは業務用空調はもちろん、熱交換器や空気清浄機など、空間における空気質をトータルコーディネートすることが可能です。お客様の要望に合わせて、最適な設備を提案します。
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