6月 25, 2024
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空調負荷計算の方法は?負荷計算の必要性や最適な空調能力目安について解説

エアコンを選ぶ際は、まず部屋の用途や広さなどを踏まえて、どのくらいの馬力がある空調にするかを考えます。エアコンのパワーや能力を決めるときに重要となるのが、空調負荷計算です。

室温を保つために必要な熱量を「熱負荷」といい、負荷が大きいほどエアコンの馬力が必要です。そのため、空調負荷を考慮せずにエアコンを取り付けると、空調の効きが悪く感じられたり、故障するリスクが高まったりします。

本記事では、空調負荷計算の方法や業種別にエアコン選びのポイントを解説します。空調機器の設置を進めようとしている設計士の方は、ぜひご一読ください。

 

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 ■この記事でわかること

  • 空調負荷計算の必要性
  • 空調負荷の計算方法
  • 空調負荷を計算する際のポイント




空調負荷計算を行わないとどうなる?

空調負荷計算を実施しなければ、以下のようなリスクが起こる可能性があります。


  • 冷暖房を快適に利用できなくなる
  • 空調設備の劣化が早くなる

実際、上記のようなリスクはお施主様からのクレームにつながるケースも多いため、まずは、空調負荷計算を行う必要性から確認していきましょう。


冷暖房を快適に利用できなくなる

空調負荷計算を行わなければ、設置した空間・部屋に適応せず、冷暖房を快適に利用できない場合があります

例えば、空間に対するスペックが足りなければ、エアコンの効きが悪いと感じるでしょう。
反対に、効きすぎても風が直接当たったり、部屋を冷やしすぎたりするため、不快に感じられる原因となってしまいます。

また、設置する空間・面積が同じでも、業種(部屋の用途)によって空調負荷の大きさが異なるため、留意しなければなりません。計算の際は、使用するシーンを考慮することがポイントです。


空調設備の劣化が早くなる

最適な能力を持つエアコンを選ばなければ、空調設備の劣化を早めてしまいます。機器本体の能力が足りず、常に高出力で運転を行なっていると、エアコンに負荷がかかりやすくなるからです。

高負荷がかかることで劣化が早くなり、機器の寿命を縮める原因となります。また、電気代も余計にかかってしまうため、空調負荷計算は不可欠です。


空調負荷の計算方法

空調負荷の計算方法を、2つ紹介します。


  • 空調負荷の計算式
  • 業種別の概略負荷計算(標準負荷)

それぞれのポイントや注意点も説明しているため、ぜひご覧ください。


空調負荷の計算式

空調負荷(熱負荷)は、以下の計算式でおおよその目安を求められます。


 熱負荷(W)= 単位熱負荷(W/m2)× 室面積(m2)


ただし、単位熱負荷は空調を設置する場所によって異なります。実際の熱負荷の値とは異なる可能性があるため、あくまでも「目安」として捉えておきましょう


業種別の概略負荷計算(標準負荷)

パナソニックでは、単位室面積の目安を「一般事務」「一般商店」「喫茶・理容」「食堂」の4つに分類して設定しています。

■概略負荷計算 標準負荷一覧

分類

一般事務

一般商店

喫茶・理容

食堂

1m² あたり冷房負荷の目安

115~170W/m²

155~230W/m²

230~290W/m²

230~370W/m²

参照元:基礎知識 | パッケージエアコン | 空調・換気設備 | 電気・建築設備(ビジネス) | Panasonic

ただし、業種以外にも、お店の条件によって考慮したいポイントは変わります。例としては以下のようなものが挙げられます。


  • ドアを常に開放しているか
  • 路面店かテナント店か
  • 大きな窓があるか
  • 発熱性のある器具・照明の有無
  • 利用者が滞在する時間

上記のように、さまざまな要因を意識して空調負荷を考えることが重要です。

 

空調負荷計算を行う際に併せて考えたいポイント

空調負荷計算を行う際に併せて考えたいポイントを、3つに分けて解説します。


  • 換気量についても考慮する
  • 空調負荷から空調設備の能力を選ぶ
  • 業種の特徴を踏まえて機器を選定する
  • メーカー担当者などプロに相談する

上記の内容を意識することが、空間に適したエアコンを選定するコツです。それぞれの詳細を見ていきましょう。

 

換気量についても考慮する

空調負荷計算を行うにあたって、換気量についても考慮しないと空調に負荷がかかってしまい、トラブルにつながる可能性があります。

過剰な換気量で必要以上に外気が室内に流入すると、冷暖房する空調の負荷も高くなります。反対に、換気量が足りず空気の入れ替えが不十分な場合、汚れた空気による健康被害が起こるリスクがあるため、適切な換気についても意識しなければなりません。

たとえば換気量が足りず、室内と室外の空気の入れ替えが不十分な場合、汚れた空気による健康被害が起こるリスクがあるため、意識しなければいけません。換気計算をしたうえで空調負荷を算出すると、新鮮な空気を室内に循環させることができ、快適な環境を実現できます

換気計算の求め方は、こちらのページで紹介していますので、あわせてご参照ください。


空調負荷から空調設備の能力を選ぶ

「空調負荷」が判明すれば、それによって、必要となる能力が決まります

さきほど紹介した式で計算すると、熱負荷がワット単位(KW)で算出されるため、下表を参考に型番を当てはめて考えてみましょう。

■形名と能力の関係性

形名

馬力相当

冷房最大能力(kW)

P40形

1.5

4.0

P45形

1.8

4.5

P50形

2

5.0

P56形

2.3

5.6

P63形

2.5

6.3

P80形

3

8.0

P112形

4

11.2

P140形

5

14.0

P160形

6

16.0

P224形

8

22.4

P280形

10

28.0

引用元:■概略負荷計算 標準負荷一覧 

たとえば、125㎡の一般事務所の負荷を求める場合、冷房負荷を170W/㎡とすると、負荷の目安は以下になります。


 170W/㎡×125㎡=21,250W/㎡=21.25kW


この場合は21.25kWになるため、冷房最大能力で選定する場合は「P224型」で満たせると判断することができます。

ただし、上記の数字はあくまで「目安」です。実際には、空間内の設備や人数、窓の数などで変わるため、施主様と利用目的や用途をすり合わせながら考えるのが望ましいでしょう。


業種の特徴を踏まえて機器を選定する

業種によって考慮するポイントが異なるため、利用する場所・空間の特徴を踏まえたうえで、機器を選定する必要があります

業種別における要点の一覧は、以下のとおりです。

分類

考慮が必要なポイント

一般事務

  • パソコンやOA機器の熱
  • 事務所内で働く従業員の人数

一般商店

  • 冷蔵ショーケースの熱、照明など
  • お客様が店内に出入りする頻度

喫茶・理容

<喫茶>

  • 調理器具の熱

<理容>

  • ドライヤーなどの発熱性の器具
  • 室内にある場合は給湯器(ボイラー)の熱

飲食店

  • 大規模な調理器具や、調理による熱
  • 客席で加工する場合は、その分も考慮


「一般事務」「一般商店」「喫茶・理容」「飲食店」に分類して、それぞれ解説します。


一般事務

一般事務の場合、パソコンやコピー機などから発する熱が、室内にこもります。また、事務所全体で座って作業を行う人が中心のため、スタッフ数が多い部屋ほど熱負荷がかかります。したがって、OA機器や従業員数などの条件を考慮して、計算するのがポイントです


一般商店

一般商店といっても、取り扱うアイテムによって熱負荷は異なります。例えば、照明や冷蔵ショーケースがある場合は、エアコンの効き具合に影響があります。

また、人の出入りが多い場合は空気が外に逃げやすいため、その点も考慮して負荷を計算しましょう。


美容室・喫茶店

美容室や喫茶店では、熱を発生させる装置が多いため、少し性能が高い機器を選ぶとよいでしょう。例として、美容室ならシャワーの給湯設備やドライヤー、喫茶店では調理器具などが該当します。

お客様が長時間同じ位置にいるケースが多いため、可能であれば、風が直接当たらないよう工夫が必要です。


飲食店

飲食店では、他の業種よりも高い能力のエアコンが必要になります。業態によるものの、大型冷蔵庫やガスコンロなどから発する熱の影響で、負荷が大きいからです。特に、厨房では油や煙が充満するため、業務用に特化した高出力の製品を選びましょう。

また、お客様が快適に過ごせるよう、人感センサーや気流をコントロールできる性能があるエアコンだと安心です。


メーカー担当者などプロに相談する

空調負荷の計算は、プロに相談するのがおすすめです。上述のとおり、設置するお店などの状況・環境に応じて異なるため、自分で空調負荷を計算したとしても、「最適解かどうか」判断するのは難しいしょう。計算や判断が困難な場合は、メーカー担当者など専門知識のある方に相談するのも一つの方法です

パナソニックでは、空調設備に関する相談を承っています。空調負荷計算はもちろん、設置場所における最適な機種を判断して、お客様にとって効率のよい空調設備を提案します。

下記のページから問い合わせができるため、お気軽にご相談ください。

 

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負荷を計算して最適な空調設備を導入しよう

空調負荷計算を行わずにエアコンを選んでしまうと、能力が足りず、快適に冷暖房を利用できない可能性があります。無理をして使い続けてしまうと、電気代が余計にかかったり、故障の原因につながったりするため、注意が必要です。

しかしながら、業態や発熱性がある機器の有無など、室内環境によって空調負荷は異なります。最適なエアコンを選ぶためには、さまざまな要素を考慮しなければいけないため、プロに相談するのがおすすめです。

パナソニックでは業務用空調の選定はもちろん、全熱交換器や空気清浄機など、空間における空気質をトータルコーディネートします。長年の経験や実績をもとに、お客様のご要望に合わせて最適な設備を提案しますので、ぜひお問い合わせください。

 

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