8月 20, 2024
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熱交換換気システムとは?仕組みやメリット、注意点を解説

空調の効いた部屋で換気をする際に、生暖かい外気や冷たい外気が入ってきてしまうことを不快に思う方もいるでしょう。こうした換気による温度変化を防ぐことができるのが、熱交換換気システムです。

本記事では、熱交換換気システムの概要や仕組み、メリット、注意点について解説します。

 

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熱交換換気システムとは

熱交換換気システムとは、屋外に排出する空気(排気)から熱を回収し、外気を室内に取り入れる(給気)ときに、その熱を再利用して温度を調節する第1種換気システムです。

外気をそのまま給気する換気システムの場合、室内の空気を外に出して外気を給気することで、室内の気温が上下してしまいます。熱交換換気システムであれば、排気する空気の熱を給気する空気に移すことで、室温と給気の温度差を減らし、室内の気温を一定に保ちながら換気することが可能です。


 

熱交換換気システムの仕組み

換気 熱交換_02
引用:気調システム | 換気扇 | 空調・換気 | Panasonic

 

熱交換は、換気システムに組み込まれている熱交換素子によって、以下のように行われます。


  1. 室内の空気が排出される際に、熱交換素子を通って熱を蓄える
  2. 取り込む外気が熱交換素子を通ることで、蓄えていた熱を受け取って室内に給気される


冬は暖かい室内の空気を利用して外気を暖めて給気し、夏は空調で調温された室内の空気を利用して外気を冷やして給気することが可能です。これにより、室内を快適な温度に保ちながら換気ができます。

熱交換換気システムの種類

熱交換換気システムには、全熱交換器と顕熱交換器があります。全熱は「熱・湿度」のことを、顕熱は「熱」のことを表します。それぞれの特徴は以下のとおりです。


  • 全熱交換器:換気時に熱・湿度を回収して給気する外気に移す換気装置です。部屋の温度と湿度を保ちながら換気ができます。
  • 顕熱交換器:換気時に熱のみを回収して給気する外気に移す換気装置です。給気する外気の湿度は調整できません。




 

 

熱交換換気システムを導入するメリット

ここでは、熱交換換気システムのメリットを3点紹介します。導入を検討する際の参考にしてください。

快適性の向上

熱交換換気システムであれば、換気時に室内の気温を一定に保つことができるため、常に室内の快適性を維持できます。換気時の気温変化による不快感を軽減しつつ、空気を入れ替えて室内を清浄化できる点がメリットです。

また全熱交換器であれば、排気と給気の湿度を交換して室内の湿度も一定に保てるため、湿度の高い季節や、空気が乾燥する季節の快適性も高まります。

省エネによる電気代の削減

換気 熱交換_04
引用:気調システム | 換気扇 | 空調・換気 | Panasonic


換気時に室温が変化すると、そのぶん暖房や冷房による調温が必要となるため、余計な電気代がかかります。

熱交換換気システムの場合、排気に含まれる温度を給気する空気に移すことで、換気時の温度変化を小さくできます。また、熱の移動を活かした仕組みであるため、熱交換には動力を伴いません。

そのため、省エネ効率が高く、冷暖房にかかる電気代の削減につながります。

結露を防止できる

熱交換換気システムによって、換気時の温度変化を抑えることで、結露の防止につながります。結露は、カビや菌の増殖による健康への悪影響や、建物を傷める原因にもなりますが、そうしたリスクを防ぐことができます。

また、全熱交換器は給排気にともなって湿度も回収するため、換気による湿度上昇を防ぎ、より結露が発生しにくい仕組みです。

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全熱交換器のメリットとは?導入の必要性も解説

 

 

熱交換換気システムを導入する際の注意点

換気 熱交換_03

熱交換換気システムは、さまざまなメリットがある反面、導入前に知っておくべき注意点も存在します。代表的なものを3点見ていきましょう。

導入・メンテナンスにコストがかかる

熱交換換気システムは、従来の換気システムよりもコストがかかります。導入時に本体の費用とあわせて、ダクト配管や電気工事、設置工事などが必要になるほか、性能を維持するための点検・清掃も定期的に行う必要があり、業者へのメンテナンスコストもかかります。

ただし、ダクトレスかダクト式かで導入・メンテナンスのコスト負担は変わります。ダクトレスであれば、ダクト式のように配管工事を行う必要がないため、コストを抑えて導入することが可能です。またダクトがないため、ダクト内のカビやホコリといった汚れを取るためのメンテナンス費用もかかりません。フィルターの交換は必要ですが、業者へ依頼しなくてできる作業であるため、負担を減らせるでしょう。

とはいえ、ダクト式のほうが換気量のコントロールや換気経路を狙って設計できるなど、換気効率や性能が優れています。業者に相談のうえ、設置場所に適したタイプを選びましょう。

どちらのタイプにしても熱交換換気システムは省エネによる光熱費の削減が期待できるため、予算や性能を考慮し、長期目線でトータルのコストを考えて検討するのがよいでしょう。

建物の気密性が低いと効果を得られにくい可能性がある

気密性の低い建物(隙間が多い建物)では、熱交換換気システムの効果を十分に得られない可能性があります。

建物の気密性が低いと、室内の空気が外に漏れやすく、外気も室内に流入しやすいためです。換気時以外に熱交換換気システムを通さずに外気が出入りしてしまい、「温度変化を抑えて換気ができる」というメリットを得られにくくなります。

具体的には、気密性を示すC値が1.0以上の建物の場合には注意が必要です。

設置が適さない場所がある

全熱交換器と顕熱交換器でそれぞれ、設置が向いていない場所があります。


  • 全熱交換器の場合:
    湿度を回収する際に臭いも取り込んでしまうため、強い臭いが出る場所の設置には適さない場合があります。トイレやバスルームへの設置は、排気機能のみの換気扇などのほうが適しています。

  • 顕熱交換器の場合:
    外気が含む湿度が室内に取り込まれてしまうため、高温多湿の時期や、湿度が高い地域には向いていません。一般的には寒冷地に適しているといわれます。

 

まとめ

熱交換換気システムは、室内の温度と湿度を一定に保ちながら換気できる、快適で省エネ効果の高いシステムです。導入にはコストがかかりますが、長期的に見ると光熱費の削減など、さまざまなメリットが期待できます。

パナソニックの熱交換気は、IAQ制御により季節にあわせた快適運転・風量一定制御機能付きの2つのDCモーターにより、安定した換気量の確保と最適な給排気量バランスのコントロールが可能です。フィルターのお手入れもしやすい設計になっています。

施主様への全熱交換器の提案を検討されている方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

 

 

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