6月 25, 2024
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全熱交換器の仕組みを図を用いて解説!

全熱交換器は、室内の空気を換気しながら室温を維持できる、省エネ効果の高い換気システムです。空気中の熱を交換することで、室温の変化を抑えて快適な室内環境を実現します。

本記事では、全熱交換器の仕組みと構造を解説するとともに、パナソニックの全熱交換器における「IAQ制御機能」について詳しく説明します。機器の仕組みを知りたい方や、自社にとって全熱交換器が必要か判断したい方は、ぜひ参考にしてください。

 

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全熱交換器とは?概要や効果、連携システムについて解説

 


 ■この記事でわかること

  • 全熱交換器の構造
  • 熱交換換気の流れ
  • IAQ制御機能による運転機能


 

全熱交換器の仕組み

全熱交換器は、熱の性質を利用することで、室温を一定に保ちながら空気を循環させる仕組みです。ここでは、全熱交換器の仕組みや構造、効率的な運転機能を解説します。

 

熱の性質を利用して空気を循環させている

全熱交換器 仕組み_02
画像引用:環境省|ZEB PORTAL(ゼブ・ポータル)|詳しい説明|ZEBを実現するための技術|全熱交換器の仕組み

全熱交換器は、「高温側から低温側に移動する」という熱の性質を利用した設備です。


例えば冬の場合、室内の暖かい空気を外に排出すると同時に、屋外の冷たい空気が取り込まれます。その際、室内の暖かい空気と冷たい外気が交差するタイミングで、排出される室内の空気の熱が、取り込まれる冷たい外気に移ります。

そのため、
換気をしても屋外の冷たい空気が、室内の暖かさに近づいて給気されます。

 

全熱交換器の構造

全熱交換器-仕組み2

上図は、全熱交換器の構造を表したものです。全熱交換器は、空気を送り込むファンをはじめ、さまざまな部品によって構成されています。

それぞれの役割は、以下のとおりです。

排気吸込(RA)

室内から全熱交換器に空気を引き込む還気ダクト

排気吹出(EA)

全熱交換器から室外に排出する排気ダクト

外気吸込(OA)

室外から全熱交換器に空気を引き込む外気取り入れダクト

室内給気(SA)

全熱交換器から室内に空気を供給する給気ダクト

排気ファン

室内の空気を室外に排出するためのエネルギーを生み出すファン

給気ファン

室外の空気を室内に取り込むためのエネルギーを生み出すファン

熱交換器エレメント

熱交換を行う装置

上記のなかでも、特に重要な役割を持つのが「熱交換器エレメント」です。この部品は、回収した空気の熱を移動させる装置で、熱交換器エレメントを通じて排気する空気の熱エネルギーを、給気する空気に移動できます。

 

熱交換換気の流れ

全熱交換器-仕組み1


上図は、全熱交換器が搭載された換気システムを運転した際の仕組みを表したものです。熱交換換気は、下記に記載された【1】~【5】の順番で行われます。

<冬の場合>


【1】室内の暖かい空気が全熱交換器に運ばれる
【2】【1】と同時に、室外から冷たい空気が全熱交換器に運ばれる
【3】全熱交換器で室内と室外の空気が交差すると、室内の暖かい空気の熱が室外の冷たい空気に移る
【4】熱を奪われ冷たくなった室内の空気が、室外へ排出される
【5】熱が移り暖かくなった室外の新鮮な空気が、室内に供給される



全熱交換器は「空気の熱だけを移動させる」装置なので、室内の汚れた空気は室外へ排出し、クリーンな環境を維持できます。ただし、排気された分と同じ量の空気が全熱交換器から供給されるとは限らず、室外の風圧やダクト圧損などによっても給気量が左右されます。

パナソニックの住宅用気調システムでは、排気用と給気用にそれぞれ風量一定制御機能付のDCモーターを搭載した機種をラインアップ。この機器は、室外の風圧やダクト圧損に左右されず、安定した給排気が可能です。



IAQ制御機能による運転機能


「IAQ制御機能」は、効率よく熱交換換気を行うための機能で、快適な室内環境を保ちながら省エネ効果を高められる点が特長
です。

ここからは、パナソニックの全熱交換器に搭載された「IAQ制御機能」が、具体的にどのような働きをしているかを紹介します。

ECO運転機能

全熱交換器 仕組み_03

ECO運転機能は、室内外の温度によって給気量と排気量を調整するシステムです。春や秋のように室内と室外の温度差が小さいときは、熱が移動する性質が働きにくいため、給気量を変えず排気風量を絞って運転します。

一方、外気温が室内と比べて低くなる冬場は、すきま風による自然換気量が増えるため、給排気量ともに絞り、運転のための消費電力を抑えます。

気圧のコントロール

全熱交換器 仕組み_04

給気量と排気量を調整することによって、室内の気圧をコントロールする機能です。室内に取り込む給気量を変えずに、排出する空気量だけを減らすことで室内の気圧を高めます。

こうすることで、家のすき間などから花粉やPM2.5などの侵入を抑えられ、空気の汚れや異物の混入防止にもつながります。

室内の湿度を踏まえた風量調節

温度センサーや湿度センサーで計測したデータをもとに、風量を調整する機能です。例えば冬場は、室内外の温度差や室内湿度をもとに全熱交換器の風量を0.5〜0.3回/hに調整し、室内の過乾燥や結露を抑えます。

ナイトパージ機能による空調負荷の軽減

全熱交換器 仕組み_05
「ナイトパージ機能」は、業務用熱交換気ユニットの普通換気(バイパス)機能により、
エアコンが停止している夜間に、室内にこもる熱気を自動的に感知して排出する機能です。室内の熱気を排出すると同時に、屋外の冷気を取り入れ、翌朝の冷房開始時の空調負荷を軽減します。

 

まとめ

全熱交換器は室内の空気を換気しながら室温を維持できるため、空調負荷軽減による省エネ効果が高く、電気代削減の効果も見込めます。

ただし、配置や設計が適切でないと、効率が下がり快適性や省エネ性を損なう可能性もあります。

こうした失敗を防ぐために役立つのが、パナソニックの設備設計・サポートサービスです。

パナソニックでも長年の機器開発のノウハウを活かした全熱交換器&空調換気のプラン作成から各種書類を無料でサポートしています。手間を解消しながら快適性も実現することができますので、ぜひお気軽にご相談ください。

また、パナソニックでは全熱交換器のほか、業務用空調なども取り扱っています。全熱交換器と空調設備を連携して活用することで、快適な環境をキープでき、より高い省エネ効果も見込めるでしょう。

 

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