空調設備とは「空気調和設備」のことを指し、その名の通り温度や湿度といった室内の空気の調整を行う設備です。ほかにも似た設備に換気設備やエアコンがあげられますが、それぞれには明確な違いがあります。
空調設備の概要や換気設備、エアコンとの違いについて知っておくと、オフィスや店舗に空調設備を設置する際に最適な機種を選びやすくなります。
この記事では、空調設備とは何かを解説したうえで、換気設備やエアコンとの違い、選定時の注意点などを紹介します。
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■この記事でわかること
- 空調設備の概要
- 空調設備の種類
- 空調設備を選定する際の注意点
空調設備とは
まずは、空調設備がどのような設備なのか解説したうえで、換気設備やエアコンとの違いを見ていきましょう。
空気調和を行う設備のこと
空調設備とは、その名の通り「空気調和」を行う設備のことです。室内温度・空気環境を、そこで過ごす人にとって快適となるように調整する役割を担います。
空調設備は建築物衛生法において、以下のような機能を備えた設備として定義されています。
- 温度の調整
- 湿度の調整
- 空気の清浄(換気)
- 気流の調整
- 圧力の調整(業務用の空調機のみ)
また、空調設備の分類は、空気調和を行う目的、対象によって次の2つに分けられます。
- 保健用空調(対人空調)
- 産業用空調
このうち、保健用空調は主に人が快適に過ごすことを目的としており、オフィスや病院、商業施設といった建物が対象です。
一方、産業用空調は主に製品の品質維持や品質管理が目的で、工場や倉庫、サーバールームなどの施設で用いられています。
換気設備やエアコンとの違い
空調設備は、換気設備やエアコンと混同されることが少なくありませんが、これらはそれぞれ異なる設備です。
換気設備は、室内の汚れた空気と室外の新鮮な空気を入れ換えるための設備のことです。換気をしないと、シックハウス症候群や一酸化炭素中毒などのリスクが高まるため、原則的として換気設備はすべての建物で設置が義務付けられています。換気設備は空調設備に求められる機能のうち「空気の清浄」を担うことができます。
一方、エアコンとは冷暖房設備のことで、空調設備に求められる機能のうち「温度の調整」、「湿度の調整」、「気流の調整」を行うものです。
このことから、換気設備とエアコンはそれぞれ、空調設備の一部を担う設備であるといえます。
空調設備で、夏場の暑さや冬場の寒さの影響を抑えて快適な空間にすることで、そこで過ごす人の健康維持や生産性・集中力の向上が期待できます。こうした効果を最大限に得るためには、設置環境に応じて最適な空調設備を設置することが大切といえるでしょう。
空調設備の種類
空調設備には、空調方式や構成する設備・機器によって分類することができます。具体的にどのような種類があるのかそれぞれ確認してみましょう。
空調方式
空調方式は、冷風や温風を作る「熱源」をどこにおくかによって、以下の2種類に分けることができます。
- パッケージ方式(個別空調方式)
- セントラル空調方式(中央空調方式)
それぞれの方式について、詳しく見ていきましょう。
パッケージ方式(個別空調方式)
パッケージ方式は、熱源を分散させ、空調を必要とする部屋やフロアごとに空調機を設置する方式です。部屋やフロアごとに空調の設定を自由に変更できるため、使わない部屋の電源をオフにしておくことで、エネルギーコストを削減しやすいメリットがあります。
一方、部屋ごとに電力を消費することから、使用量に応じてコストが変わりやすい点には注意が必要です。
使用する時間帯や求められる温度が部屋によって異なる複合施設や、さまざまな業種が入居するテナントビルでの導入が向いています。
セントラル空調方式(中央空調方式)
セントラル空調方式とは、冷凍機やボイラーといった熱源を機械室に集約し、一箇所でコントロールする方式です。温度調節に冷却水を利用することから、設計自由度の高さが特徴です。
また、事務所が多く入るようなビル全体の空調を一括管理できるため、冷暖房の効率が向上し、エネルギーコストの削減にもつながります。
ただし、温度管理が一括となるため、部屋ごとの温度調整がしにくいといったデメリットがあることも留意しましょう。また、特注の空調機となるため初期費用やランニング費用が高くなる点や、メンテンナンスコストがパッケージ方式よりもかかる点にも注意が必要です。
大規模なオフィスビルや、大規模総合病院のような施設での導入が向いています。
構成する設備・機器の分類
空調設備を構成する設備や機器は、役割や目的によって3つに分類できます。それぞれの設備の詳細は下記の通りです。
項目 |
詳細 |
主な設備 |
熱源設備 |
水を冷却・加熱し、冷温水によって空気の温度を調節する装置 |
ボイラーや冷凍機など |
熱搬送設備 |
空気の浄化、冷却、加熱、調湿などを行う設備 |
冷却コイル、加熱コイル、加湿器、除湿器、エアフィルターなど |
空気調和設備 |
熱源機で作った冷水・温水を空調機に移し、調和後の空気を各室内機に届ける設備 |
配管内部の流体を送り出すポンプ、外気や給気用のダクト類など |
空調設備を選定する際の注意点(考慮したいポイント)
空調設備の機種を選ぶ際は「熱負荷」を考慮することが大切です。家庭用の場合は「○○畳用」といった部屋の広さを目安に選ぶことができます。しかし、業務用は空調負荷計算を行ってから選定しないと、たとえば夏季に空間全体が冷えなかったり、冷え過ぎてしまったりといった状況が発生してしまうでしょう。
また、機種選定にあたって容量が大きいタイプを選ぶケースもありますが、容量が大きいエアコンと小さいエアコンでは動かす際に消費するエネルギーの量が異なります。容量が大きすぎるエアコンを選ぶと、無駄にエネルギーを消費するリスクがあることにも留意しましょう。
このように、設置する空間によって最適な機種が変わるため、前述の通り事前に熱負荷を算出することが重要になります。ただし、熱負荷は同じ広さの部屋でも、利用用途や人の出入りなどによって変わるため計算が煩雑です。
パナソニックでは、空調負荷計算に基づいた機種選定を無料で実施しています。設置する場所別に最適な空調を提案できますので、空調設備の設置を検討中の方はぜひお気軽にご相談ください。
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まとめ
空調設備は、室内の温度や湿度を快適に保つための設備です。換気設備やエアコンはぞれぞれ、空調設備に求められる機能の一部を担うものであり別の設備です。
また、空調設備は空調方式や構成する設備・機器によって分類でき、用途や規模に合わせて最適な空調設備は異なります。
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