「設備図面(設備図)」は、空調・給排水、電気といった、建築物に欠かせない設備を、正しく設計・施工するために重要な図面です。
本記事では、設備図面の概要を紹介したうえで、作成前の計画や、種類、実践的な見方のポイントなどについて体系的に解説していきます。
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■この記事でわかること
- 設備図面の基本的な定義と役割
- 設備図面の種類と特徴
- 設備図面を読み解くためのポイント
設備図面(設備図)とは
設備図面(設備図)とは、建築物における空調・換気、給排水、ガス、電気といった設備に関する仕様や、設置位置、配線、配管などを記載した図面のことです。
建物の設計図にあたり、構造物を平面であらわした図面を「建築図面」といいますが、設備図面もこのうちの一つです。建築図面には、他にも意匠図面・構造図面があり、それぞれの設計領域に対応しています。
また、設備図面は基本設計図面をもとに作成する実施設計図面の一つで、設備設計の流れを示した以下の図における「実施計画」段階で作成されるものです。施主の方に設計内容を説明する際や、施工会社に工事を依頼する際に用いられます。
ただし、実施設計段階で設備図面を作る手前の下準備として、基本設計時点で基本的な設備プラン・計画を作成して理解しておかないと、実施設計時点で施工会社との認識の齟齬が起こり、トラブルになる恐れがあります。そのために必要になるのが後述する各種プロット図です。
設備図面作成前の計画
前述のとおり、設備設計でのトラブルを防ぐためには、基本設計段階で設備に関する設備プラン・計画を立てておかなくてはなりません。そのために必要なのが「プロット図」です。
プロット図とは、空調・換気設備、衛生設備、コンセント、照明、ガス設備、消火設備などの位置を計画・確認するための図面です。代表的なものとしては以下が挙げられます。
- 空調・換気プロット図
- 給排水衛生プロット図
- 照明プロット図
- コンセント図
- 弱電図 など
これらのプロット図には、意匠・構造・設備の設計情報を一元化し、各設備の位置取りなどを調整していく役割があります。
設備図面の種類
設備図面は、大きく「機械設備図」と「電気設備図」に分けられます。機械設備図は空調や給排水といった設備を、電気設備図は配線やコンセントなどの電気関連設備を示します。
以下でそれぞれの詳細を見ていきましょう。
機械設備図
機械設備図は、建物内で過ごす人々が快適に過ごすために欠かせない空調や給排水などの設備を示す図面です。代表的な機械設備図として、以下の4つがあります。
- 空調設備図・換気設備図
- 給排水衛生設備図
- ガス設備図
- 消火設備図
空調設備図・換気設備図
エアコンや室外機、ダクト、換気扇といった空調・換気設備について示した図面です。空調・換気設備に関する機器の種類や設置位置、配管経路はもちろんのこと、必要な換気能力や配管のサイズといった詳細についても計算・記載されます。
給排水衛生設備図
給水・給湯・排水設備や、衛生設備といった設備について示した図面です。
これらの設備は、集合住宅、病院、商業施設、工場といった建物の種類に応じて、さまざまな目的で使用されます。給排水衛生設備図は、飲料水やトイレ、風呂、洗面をはじめ、温度・湿度の調整や、製品の洗浄・冷却など、給排水・衛生設備全般について記載されたものです。
設備の仕様や位置、配管経路・口径、蛇口・トラップといった詳細まで給排水衛生設備図で明確化します。
ガス設備図
ガスの配管経路、引き込み経路、配管の口径、配管接続の方法といった、ガス設備に関する全般を記載した図面です。ガスは建物外の道路に埋没しているガス本管から引き込み、ガスメーター・配管を通して建物内に供給されます。その際の、建物内外のガスの経路についても記載されます。
消火設備図
消火栓や消火管、スプリンクラーといった火災に備えた消火設備について記載した図面です。消火設備の位置や引き込み経路などを明確に示す必要があります。
電気設備図
電気設備図は、建築物に設置する電気設備の仕様や位置を示す図面です。屋内配線図とも呼ばれ、ブレーカーなどの分電盤、建物内の配線、コンセント、スイッチ、照明器具、換気扇、電話、テレビなどの位置・形状・数などについて記載されます。
電気設備図は主に以下の種類に分かれ、それぞれ役割が異なります。
設備図名 |
説明 |
動力設備図 |
電気を使って動かす電気機器、空調機器、給排水機器などに関する図面 |
照明器具図 |
照明器具を図や記号で一覧にあらわした図面 |
電灯コンセント設備図 |
照明器具やコンセントについて記載した図面 |
弱電設備図 |
電話・インターホン・LANなどを動かす電圧の弱い設備に関する図面 |
自動火災報知設備図 |
自動火災報知機に関する図面 |
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設備図面の見方のポイント
設備図面を正しく理解し活用するためのポイントとして、以下の2点を紹介します。
- 設備図面で用いられる記号を覚える
- 設備図面の縮尺・寸法について理解する
それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。
設備図面で用いられる記号を覚える
設備図面では、さまざまな設備や機器を効率的に表現するために、標準化された記号が使用されています。これらの記号は、設備の種類や機能を視覚的に示すもので、設備図面を読み解く上で重要な要素の一つです。
こうした記号を正しく理解することで、複雑な設備の配置や仕様を効率的に把握できます。
以下が設備図面における記号の一例です。
設備図面の縮尺・寸法について理解する
設備図面を正しく見るためには、縮尺や寸法についても理解しておく必要があります。
まず、設備図面の縮尺は以下が基本となります。
電気設備図面 |
配線図、平面図 |
1/100 |
1/200 を用いることができる。 |
詳細図 |
1/50 |
1/20 又は 1/30 を用いることができる。 |
|
系統図 |
- |
||
機器仕様 |
- |
||
機械設備図面 |
機器表・器具表 |
- |
|
系統図 |
- |
||
配線図、平面図 |
1/100 |
1/200 を用いることができる。 |
|
詳細図 |
1/50 |
1/20 又は 1/30 を用いることができる。 |
※系統図:電気や配管などを系統ごとに分けて記載した図面。平面図で表現できない場合は断面図が使用されることもある
※配線図、平面図:建物を真上から見た図面。配線や配管などを記載する
※詳細図:配線や配管の位置などに加えて、詳細な寸法や注意点などを記載した図面。
※機器表・器具表:使用する電気設備・機械設備の仕様を一覧化したもの
また、設備図面における高さ・幅といった寸法はmm(ミリメートル)で記載するのが一般的です。
(例)
- H2,500:高さ2.5m
- W1.5:幅1.5m
まとめ
設備図面は、建物における設備の配置や仕様を示す重要な図面です。図面の種類は大きく機械設備図と電気設備図に分かれ、それぞれが建物の設備設計における重要な役割を担っています。
また、設備設計でのトラブルを防ぐためには、実施設計段階で設備図面を作る前に、基本的な設備プラン・計画を作成しておくことが大切です。これをせずに全て設備業者任せにしてしまうと、設計者自身が説明できない・理解できない、施工会社との認識齟齬が起こるなどの問題が発生しかねません。
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Author 執筆者情報

横松建築設計事務所
代表取締役 / 一級建築士 横松 邦明 氏
国内外で100棟以上の建物の計画/設計経験あり。企業/建築士会/建築士事務所協会等の講演も行っている。
BIMを黎明期以前より取り入れ研究してきた背景から、国土交通省へ協力する日本建築士会連合会BIMタスクフォースのメンバーとして、国内有数のメンバーと共に様々な活動を実施中。現在は東京、栃木、新潟のオフィスを拠点に設計活動を行っている。