GHP(ガスヒートポンプ)は、ガスエンジンを動力源として冷媒を圧縮し、冷房・暖房を行う省エネルギー性に優れた空調システムです。電力を使用するEHP(電気ヒートポンプ)とは異なり、ガスを熱源とするため、電力消費量の削減に貢献します。
また、停電時にも稼働できるため、BCP(事業継続計画)対策としても注目されています。
国や地方自治体では、GHPの導入をサポートするために、さまざまな補助金制度を設けています。
補助金制度をうまく活用することで、初期投資の負担を軽減しながら、GHPの導入を進めることが可能です。
本記事では、2025年に利用可能なGHP関連の補助金について、詳しく解説していきます。
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目次
- GHP(ガスヒートポンプ)に使える補助金制度【2025年版】(令和7年度予算案)
- 住宅・建築物需給一体型等省エネルギー投資促進事業費
- 災害時の強靭性向上に資する天然ガス利用設備導入支援事業費補助金[災害時にも利用可能な天然ガス利用設備]
- 災害時に備えた社会的重要インフラへの自衛的な燃料備蓄の推進事業費補助金
- 脱炭素技術等による工場・事業場の省CO₂化加速事業(SHIFT事業)
- 二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(地域レジリエンス・脱炭素化を同時実現する公共施設への自立・分散型エネルギー設備等導入推進事業
- 地域脱炭素推進交付金(地域脱炭素移行・再エネ推進交付金、特定地域脱炭素移行加速化交付金等)
- 建築物等のZEB化・省CO₂化普及加速事業
- 省エネルギー投資促進支援事業費補助金
- 空調設備整備臨時特例交付金
- 私立大学等研究施設整備費等補助金及び私立学校施設整備費補助金
- まとめ
■この記事でわかること
- GHPに使える2025年の補助金制度
- 令和7年度実施が見込まれる補助金制度
GHP(ガスヒートポンプ)に使える補助金制度【2025年版】(令和7年予算案)
GHPは環境性能に優れた空調システムですが、初期投資が大きいことが課題です。その負担を軽減するために、国や地方自治体では、GHP導入に対する補助金制度を設けています。
ここからは、令和7年度予算案に盛り込まれているGHP関連の補助金について見ていきましょう。
住宅・建築物需給一体型等省エネルギー投資促進事業費
令和7年度の「住宅・建築物需給一体型等省エネルギー投資促進事業費」は、住宅や建築物のエネルギー需給を一体的に最適化し、省エネルギー性能の向上を図るための補助金制度です。
ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)やZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の実証支援、次世代省エネ建材の導入支援が予定されています。ただし、現時点では令和7年度の公募情報はまだ公開されていないため、今後の発表を待ちましょう。
災害時の強靭性向上に資する天然ガス利用設備導入支援事業費補助金[災害時にも利用可能な天然ガス利用設備]
「災害時の強靭性向上に資する天然ガス利用設備導入支援事業費補助金」は、災害時における施設の機能維持と環境対策を目的とした制度です。
耐震性の高いガス導管から供給を受ける避難施設や防災拠点などに対し、停電対応型ガスヒートポンプエアコン(GHP)の導入を行う事業者に補助金が交付されます。
補助金名 |
災害時の強靭性向上に資する天然ガス利用設備導入支援事業費補助金 |
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公募期間 |
1次公募:令和7年4月25日(金)〜5月7日(水)※受付終了 |
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対象者 |
事業者 |
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対象事業 |
強靭性の高いガス導管で供給を受ける避難所等への「停電対応型ガスヒートポンプエアコン(GHP)」の導入 |
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補助金額 |
中圧(指定区域*) |
1.0億円/2分の1 |
中圧(上記以外) |
0.66億円/3分の1 |
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低圧(全ての供給区域) |
0.66億円/3分の1 |
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申請方法 |
jGrans(ジェイグランツ)にて申請 |
※指定区域は政府想定の地震対象エリア及び政令指定都市等の大都市等
参照:災害時の強靭性向上に資する天然ガス利用設備導入支援事業費補助金
災害時に備えた社会的重要インフラへの自衛的な燃料備蓄の推進事業費補助金
「災害時に備えた社会的重要インフラへの自衛的な燃料備蓄の推進事業費補助金」は、石油製品タンクや石油ガス災害バルク等の設置費用を補助する制度です。
大規模災害時においても、避難所や医療施設などの社会的重要インフラが機能を維持できるよう設置されました。
補助金名 |
災害時に備えた社会的重要インフラへの自衛的な燃料備蓄の推進事業費補助金 |
公募期間 |
ー |
対象者 |
事業者 |
対象事業 |
石油ガス災害バルク等の設置 ①容器及び供給設備のみの設置 ②石油ガス災害バルク等の設置のうち容器及び供給設備に加え発電機、空調機器又は燃焼機器を設置 ③石油ガス災害バルク等の設置のうち容器及び供給設備に加え発電機及び石油ガス空調機器又はコージェネレーションシステムを同時に設置 |
補助金額 |
①1,000万円/3分の2または2分の1 ②3,000万円/3分の2または2分の1 ③5,000万円/3分の2または2分の1 ※中小企業に対しては3分の2以内、大企業・地方公共団体等に対しては2分の1以内 |
申請方法 |
jGrans(ジェイグランツ)にて申請 |
参照:災害時に備えた社会的重要インフラへの自衛的な燃料備蓄の推進事業費補助金
脱炭素技術等による工場・事業場の省CO₂化加速事業(SHIFT事業)
「脱炭素技術等による工場・事業場の省CO₂化加速事業(SHIFT事業)」は、環境省が実施する補助金制度で、中小企業がデジタル技術を活用してCO₂削減計画を策定・実行し、省エネ設備を導入する取り組みを支援します。
補助金名 |
脱炭素技術等による工場・事業場の省CO₂化加速事業(SHIFT事業) |
公募期間 |
①1次公募:令和7年3月31日(月)〜5月15日(木)12時まで ②令和7年3月31日(月)〜6月16日(月)12時まで |
対象者 |
事業者、団体 |
対象事業 |
①省CO₂型システムへの改修支援事業 ②DX型CO₂削減対策実行支援事業 |
補助金額 |
①1億円または5億円/3分の1 ②200万円/4分の3 |
申請方法 |
jGrans(ジェイグランツ)にて申請 |
参照:脱炭素技術等による工場・事業場の省CO₂化加速事業(SHIFT事業)
二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(地域レジリエンス・脱炭素化を同時実現する公共施設への自立・分散型エネルギー設備等導入推進事業)
「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(地域レジリエンス・脱炭素化を同時実現する公共施設への自立・分散型エネルギー設備等導入推進事業)」は、災害時の避難施設などの公共施設を対象とした補助金制度です。
再エネ設備や自立・分散型エネルギー設備を導入することで、平時の温室効果ガス排出削減と災害時のエネルギー供給確保を同時に実現することを目的としています。
補助金名 |
二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(地域レジリエンス・脱炭素化を同時実現する公共施設への自立・分散型エネルギー設備等導入推進事業) |
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公募期間 |
二次:令和7年4月7日(月)〜5月9日(金)12:00 |
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対象者 |
地方公共団体 |
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対象事業 |
災害時に避難施設として位置付けられた公共施設等への省エネルギー設備の導入 (※レジリエンス強化に資する再生可能エネルギー設備、未利用熱活用設備及びコージェネレーションシステムと併せて導入する場合に限る) |
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補助金額 |
①市区町村等であって、太陽光発電設備以外の再生可能エネルギー設備又は未利用熱活用設備の導入の場合、又は離島の場合 |
3分の2 |
②市区町村等であって、太陽光発電設備又はコージェネレーションシステムの導入事業の場合 |
2分の1 |
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③都道府県・指令都市の場合 ※太陽光発電以外の再エネ設備導入事業に限る |
3分の1 |
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申請方法 |
一般財団法人環境イノベーション情報機構(EIC)に必要書類を郵送又は持参 |
参照:二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(地域レジリエンス・脱炭素化を同時実現する公共施設への自立・分散型エネルギー設備等導入推進事業)
地域脱炭素推進交付金(地域脱炭素移行・再エネ推進交付金、特定地域脱炭素移行加速化交付金等)
「地域脱炭素推進交付金」は、地方公共団体が地域全体で再エネ、省エネ、蓄エネといった脱炭素製品や技術の需要を創出し、投資を拡大することを目的とした制度です。
補助金名 |
地域脱炭素推進交付金(地域脱炭素移行・再エネ推進交付金、特定地域脱炭素移行加速化交付金等) |
公募期間 |
ー |
対象者 |
地方自治体等 |
対象事業 |
①脱炭素先行地域づくり事業 |
補助金額 |
①原則3分の2 |
申請方法 |
ー |
参照:地域脱炭素推進交付金(地域脱炭素移行・再エネ推進交付金、特定地域脱炭素移行加速化交付金等)
建築物等のZEB化・省CO₂化普及加速事業
「建築物等のZEB化・省CO₂化普及加速事業」は、建築物の脱炭素化を推進するための補助金制度です。
GHPをはじめとする高効率空調機器の導入に対して補助が受けられます。
補助金名 |
建築物等のZEB化・省CO₂化普及加速事業 |
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公募期間 |
ー |
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対象者 |
地方公共団体、民間事業者、団体等 |
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対象事業 |
業務用施設のZEB化普及に資する高効率設備導入 |
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補助金額 |
延べ面積 |
新築建築物 |
既存建築物 |
2,000㎡未満 |
ZEB→2分の1 Nearly ZEB→3分の1 ZEB Ready→対象外 |
ZEB→3分の2 Nearly ZEB→2分の1 ZEB Ready→対象外 |
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2,000㎡〜10,000㎡ |
ZEB→2分の1 Nearly ZEB→3分の1 ZEB Ready→4分の1 |
ZEB→3分の2 Nearly ZEB→2分の1 ZEB Ready→3分の2 |
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10,000㎡以上 |
ZEB→2分の1 Nearly ZEB→3分の1 ZEB Ready→4分の1 ZEB Oriented→4分の1 |
ZEB→3分の2 Nearly ZEB→3分の2 ZEB Ready→3分の2 ZEB Oriented→2分の1 |
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申請方法 |
ー |
参照:建築物等のZEB化・省CO₂化普及加速事業(1)ZEB普及促進に向けた省エネルギー建築物支援事業
省エネルギー投資促進支援事業費補助金
「省エネルギー投資促進支援事業費補助金」は、工場や事業場におけるエネルギー消費効率の高い設備への更新やプロセス改善を支援する制度です。
対象設備を限定しない「工場・事業場単位」の支援と、申請手続きが簡易な「設備単位」の支援の2種類があります。
また、先進的な省エネ技術・設備の導入を行う省エネ投資について、重点的な支援も行われます。
補助金名 |
省エネルギー投資促進支援事業費補助金 |
公募期間 |
1次:2025年3月31日(月)〜4月28日(月) 2次:2025年6月2日(月)〜7月10日(木) 3次:2025年8月中旬〜9月下旬(予定) |
対象者 |
事業者 |
対象事業 |
エネルギー消費効率等の基準を満たした設備(高効率空調含む)の導入 |
補助金額 |
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申請方法 |
空調設備整備臨時特例交付金
「空調設備整備臨時特例交付金」は、避難所として指定されている公立小中学校等の体育館や武道場への空調設備新設を支援する制度です。
学校施設の避難所機能を強化し、耐災害性の向上を目的として創設されました。
補助金名 |
空調設備整備臨時特例交付金 |
公募期間 |
ー |
対象者 |
公立の小学校、中学校、義務教育学校、中等教育学校(前期課程)、特別支援学校 |
対象事業 |
屋内運動場(学校体育館・武道場)への空調導入 |
補助金額 |
400万円/7,000万円/2分の1 |
申請方法 |
都道府県の教育委員会を経由して文部科学大臣に提出 |
私立大学等研究施設整備費等補助金及び私立学校施設整備費補助金
令和7年度の「私立大学等研究設備整備費等補助金及び私立学校施設整備費補助金」は、私立大学や専修学校がBCP機能(避難所としての施設活用)を強化するために、教育・研究施設へ空調設備を導入する際の費用を支援する制度です。
補助金名 |
私立大学等研究設備整備費等補助金及び私立学校施設整備費補助金 |
公募期間 |
令和7年4月25日(金)まで |
対象者 |
学校法人・準学校法人が設置する専修学校 |
対象事業 |
空調設備の導入 |
補助金額 |
2分の1または3分の1 |
申請方法 |
都道府県担当部局へ紙媒体及び電子媒体で提出 |
参照:私立大学等研究施設整備費等補助金及び私立学校施設整備費補助金
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まとめ
本記事では、令和7年度予算案に盛り込まれているGHP関連の補助金について詳しく解説しました。
GHPは、優れた省エネルギー性、災害時の稼働継続性などの観点から注目を集めている空調システムです。GHP導入時は紹介した補助金を活用し、初期投資の負担を軽減しましょう。
パナソニックでは、GHPをはじめ、EHP、GHP・EHPの一体型まで、業務用エアコンを幅広くラインナップしています。お客様のニーズをお聞きしながら、最適な空調機器をご提案可能です。
また、導入に向けた補助金情報のご提供、プラン図の作成・各種計算・機器選定など設備設計に関して幅広くご支援可能な「設備設計サポート」も無料で提供しています。GHP導入をお考えの際は、ぜひ詳細についてご確認ください。
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