クリニック開業までに必要な期間は、概ね1年半〜2年程度と言われています。内装工事が終了すると、いよいよクリニックの開業準備はラストスパートです。良いスタートが切れるように、開業前に入念なチェックを行いましょう。
本記事では、クリニックの開業を迎えるにあたっての注意点を紹介します。
目次
- クリニック開業前のチェックポイント:ハード面
- 設計通りに施工されているか
- 汚れや傷はないか
- 使い勝手は良いか
- メンテナンスのシミュレーションはできているか
- 設計通りに施工されているか
- クリニック開業前のチェックポイント:ソフト面
- 職員研修
- オペレーションの最終確認
- 開業申請
ハード面:建築物や内装、機械・設備などを指します ソフト面:職場環境や社内ルール、オペレーションを指します |
クリニック開業前のチェックポイント:ハード面
設計通りに施工されているか
内装工事が完了したら、設計通りに施工されているか、目立たない部分が手抜き工事になっていないか、設計士などプロの立会の元でチェックを行うことをおすすめします。プロに立会いをしてもらうことで、専門家の目から見逃されることがなくなり、安心して工事を完了させることができます。もし、施工ミスや手抜き工事があった場合は、早めに施工業者に指摘し、修正を依頼しましょう。
汚れや傷はないか
壁紙や床材、各種什器やインテリアなどに汚れや傷がついてしまっていないか、細かい部分までしっかりとチェックを行います。ぱっと見はとても綺麗でも、よく見たら施工業者のミスで汚れや傷がついてしまっている場合があります。工事が終了した時点で指摘をすれば、無償での修繕など何かしらのフォローをしてもらえるはずです。引き渡し後に指摘をしても十分なフォローが受けられない可能性があるので、工事終了時に入念なチェックを行いましょう。
使い勝手は良いか
患者を迎える前に、スタッフ同士で診療のリハーサルを行っておくと良いでしょう。機材の使い方や診療の導線など、使い勝手を細かく確認します。リハーサルをきちんと行い、慣れておくことで、開業後の診療がスムーズになります。また、機材などに不具合があった場合には、直ちに業者に連絡をして見てもらいましょう。開業まで余裕をもった日程で行うことをおすすめします。
メンテナンスのシミュレーションはできているか
クリニックの運営では設備の定期メンテナンスも重要です。後回しにすると、修繕費用が高くつく可能性がありますので、専門業者に定期的に点検・保守を依頼するなどの対策がおすすめです。特に空調や換気設備のメンテナンスを怠ると、効率が悪くなり電気代が増加します。さらに、来院する患者の快適性も損なわれる可能性があります。
パナソニックの業務用空調を導入いただいたお客様においては、定期点検を行うサービス(有料)がございますので、ぜひご検討ください。
クリニック開業前のチェックポイント:ソフト面
職員研修
内装工事が終わり、医療機器や備品が運び込まれるとすぐにでも診療を始められるような雰囲気になりますが、もちろんそんなことはありません。特に新規に開業する場合は、スタッフのほぼ全員が初対面です。各人がそれなりにキャリアを積んできていたとしても、初対面ばかりで構成されたチームではスムーズな連携は難しいものです。
開業までの期間にしっかりと研修を行い、クリニック運営に必要な実践的スキルや連携を強化していきましょう。研修のスタートは、開院のおよそ2~3週間前がおすすめです。医療機器や電子カルテなどの使い方レクチャーやその実践、接遇マナー研修などを行います。
オペレーションの最終確認
研修の最終仕上げとなるのが診療シミュレーションです。知人や出入り業者の中から有志を募り、患者役として受診してもらいましょう。初診と再診の患者が来た場合、急患が入った場合など、いくつかの場面を想定し、ロールプレイング形式で流れや対応を確認します。窓口での受付に始まり、問診票の記入、診察室への誘導、カルテ作成、レセコン入力、会計まで、実際の診療に沿ってシミュレーションを行うことで、不足した点が見えてくるはずです。
一通りシミュレーションが終わったら振り返りの時間を設けましょう。スタッフ間の連携や接遇、機器の取り扱い、必要備品等について話し合います。より洗練されたチームワークを目指し、何度かシミュレーションを繰り返すことで、診療の流れはどんどんスムーズになります。
開業申請
建物、設備、スタッフも含め患者の受け入れ準備が整ったら、関係各官庁等への開業申請を行います。保健所、厚生局、福祉事務所、医師会、労働基準監督署など、届け先は複数あります。承認されるまでは診療を行うことができないものもあるので注意が必要です。以下に、代表的な届出を紹介します。
①診療所開設届
クリニックを開業するにあたり、まずは診療所開設届を提出します。基本的に所轄の保健所に開設した日より10日以内に届ける必要があります。しかし、実際のところはもっと前に窓口へ足を運ぶ必要があります。事前相談なしにいきなり開設届を提出しようとしても、すんなり受理されることが少ないからです。クリニックのレイアウトや名称について相談しておくと良いでしょう。さらに、開業届の書き方や添付書類の確認なども事前に相談をしておくことで、スムーズな受理に繋がります。
②保険医療機関指定申請
診療所開設届が無事に受理されれば、医療法上は歴然としたクリニックです。しかし、それだけでは自由診療しか行えません。公的医療保険による診療、つまり保険診療を行うためには、保険医療機関としての指定を受ける必要があります。管轄の厚生局事務所に保険医療機関指定申請書を提出しましょう。保険医療機関の指定は毎月1日付なので、その締め切りに間に合わなければ、一か月以上、保険診療が行えなくなるので注意が必要です。保険医療機関指定申請も前もって書類のチェックをしてもらうなど、スムーズに受理してもらえるように準備を進めましょう。
クリニックの内覧会の開催
クリニックの内覧会は、子どもから大人まで、地域の人にクリニックの存在や設備、スタッフを知ってもらう機会を設けるために行います。患者となり得る地域住民の方と触れ合う大事な機会となるため、見学者が全て患者だと思ってしっかりと計画を立てることが大切です。
内覧会を成功させるためには、多くの見学者が望める土日・祝日に開催することや、見学者とスタッフのコミュニケーションを図る工夫をすること、スタッフの対応の仕方をあらかじめ決めておくことなどが重要です。当日対応するスタッフには、見学者ファーストの気持ちを持って対応してもらうようにしましょう。
まとめ
本記事では、内装工事や設備のチェック、スタッフの研修、開業申請や内覧会の準備など、クリニックの開業を迎えるにあたっての注意点について紹介しました。これらのポイントを押さえて、スムーズな開業を目指しましょう。
クリニックの開業を考えている方は、こちらの記事もぜひ参考にしてみてください。
パナソニックなら理想のクリニックづくりを設計段階からサポートします。お気軽にお問い合わせください。
記事監修:MESプロモーション株式会社