2025年4月(予定)に施行される建築基準法改正により、これまで一部審査が省略できた「4号特例」が縮小され、実質的に廃止されます。
従来、4号特例の対象となっていた木造二階建てなどの建築物も、リフォーム内容によっては確認申請が必要になるため、注意が必要です。
本記事では、4号特例の縮小によって変わることや、確認申請が必要となるケースをわかりやすく解説します。
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▼目次
4号特例の縮小によって変更されること
4号特例の縮小(実質的な廃止)によって、建築確認・審査や提出書類に関するルールが大きく変わります。具体的には、これまで4号特例が適用されていた建築物が「新2号建築物」と「新3号建築物」に分類され、それぞれ対象となる審査や書類が変更されます。
以下では、これまでの4号特例と、縮小による変更内容をそれぞれ見ていきましょう。
これまでの4号特例
これまでは、以下などの条件を満たす「4号建築物」は、一部審査が対象外になっていました。
■4号建築物の認定条件(建築基準法第6条第1項第4号に該当する建築物)
⚫︎木造の場合
・特殊建築物でない建物(映画館、病院、学校など)
・延べ面積500m2以下
・2階建て以下 ・高さ13メートル以下
・軒の高さ9メートル以下
⚫︎木造以外の場合
・特殊建築物でない建物(映画館、病院、学校など)
・延べ面積200m2以下
・平屋
4号特例縮小による変更内容
4号特例の縮小によって、大きく変わる点が2つあります。
①「建築確認・検査」「審査省略制度」の対象範囲
制度施行後は4号建築物が廃止され、「新2号建築物」と「新3号建築物」の2つが新たに設けられます。
これまで4号建築物の対象であった木造2階建ては「新2号建築物」となり、大規模な修繕や模様替えのリフォームを含む建築確認・審査が審査省略制度の対象外となります。
一方の4号建築物に該当する平屋(延べ面積200㎡以下)に関しては、「新3号建築物」に変更されますが、現行と同様に審査省略制度の対象となります。
つまり、4号特例の縮小(実質的な廃止)の影響を受けるのは、木造2階建てです。
引用:4号特例が変わります
②確認申請の際に構造・省エネ関連の図書の提出が必要となる
現行では、確認申請の際の一部図書の提出が省略できましたが、改正後は新2号建築物に該当する木造2階建て等では省略ができなくなります。それにより、新たに「構造関係規定等の図書」と「省エネ関連の図書」の2つの図書の提出が求められるようになります。
引用:4号特例が変わります
ただし、「新3号建築物」に当てはまる平屋(延べ面積200㎡以下)は、現行のまま提出図書の省略が継続されます。
ここまで解説した4号特例の縮小による変更内容をまとめると、改正前の4号建築物にあたる「平屋かつ延べ面積200㎡以下の建物」は特例が継続し、木造2階建てなどは特例が縮小(実質的な廃止)されます。
新2号建築物のリフォームにおいて確認申請が必要なケース
4号特例が縮小され、一般的な2階建て木造住宅は新2号建築物に分類されるようになりました。そのため、大規模な修繕・模様替えを含む建築確認・申請では、確認申請が必要になるケースがあります。
ここでは、大規模な修繕・模様替えの定義や、再建築不可物件の取り扱いについて解説します。
大規模な修繕・模様替えについて
大規模な修繕や模様替えに該当する部分は、主要構造部(壁、柱、床、はり、屋根、階段)です。修繕と模様替えいずれも、上記のうち一種以上を1/2を超えてリフォームした場合に確認申請が必要となります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
国土交通省は、大規模な修繕について以下のように定義しています。
・修繕とは、経年劣化した建築物の部分を、既存のものと概ね同じ位置に概ね同じ材料、形状、寸法のものを用いて原状回復を図ることをいいます。
・大規模の修繕とは、修繕する建築物の部分のうち、主要構造部(壁、柱、床、はり、屋根又は階段)の一種以上を、過半(1/2 超)にわたり修繕することをいいます。
引用元:参考 法律上の手続きと補助・融資等の制度
例えば、屋根の劣化による雨漏りのリスクを理由に行うリフォームは修繕と言えるでしょう。
ただし、修繕に該当する場合でも、修繕の範囲によって確認申請の対象となるかは異なります。引用部分のとおり、主要構造部のうち、一種以上の修繕を半分を超えてリフォームする場合に確認申請が必要となるので注意が必要です。
屋根の修繕のケースを例に挙げると、屋根面積が100㎡であれば51㎡以上で確認申請の対象となります。
次に、大規模な模様替えの定義について見ていきましょう。
・模様替えとは、建築物の構造・規模・機能の同一性を損なわない範囲で改造することをいいます。一般的に改修工事などで原状回復を目的とせずに性能の向上を図ることをいいます。
・大規模の模様替えとは、模様替えをする建築物の部分のうち、主要構造部(壁、柱、床、はり、屋根又は階段)の一種以上を、過半(1/2 超)にわたり模様替えをすることをいいます。
性能を向上する修繕とは、修繕のように生活していくうえで必須となるリフォームではなく、よりよく快適に過ごすための工事のことを指します。
例えば、耐震や省エネ、バリアフリーといった住宅性能を高めるリフォームです。
大規模な修繕と同様に、修繕範囲が半分を超えると確認申請の対象となります。
再建築不可物件の取り扱いについて
再建築不可物件とは、現在建てられている建物を解体したあとに、新たに建物を建ててはいけない土地のことです。
建築基準法では原則として建築物は幅4m以上の道路に2m以上接していなければならいないなどと、建築物の敷地と道路の関係に接道義務を設けています。(建築基準法 |第四十三条)この義務は、救急車両や災害時の避難経路を確保するための制度であり、規制以前に建てられた建物は再建築不可の土地となります。
接道義務を満たしていない建築物は建築基準法に反するため、立て直しや増築、大規模な修繕、模様替えなどが禁止されています。(建築基準法 |第九条)しかし、現行では4号建築物に該当する木造2階建てや平屋に関して、大規模な修繕や模様替えには確認申請が不要となっているため、骨組みだけを残すスケルトンリフォームが多く選ばれていました。
ところが、改正後はスケルトンリフォームを含む大規模な修繕や模様替えには確認申請が必要となります。再建築不可物件は確認申請ができないため、スケルトンリフォームのような大規模な修繕や模様替えができなくなる可能性があります。
どうしても大規模な修繕や模様替えをしたい場合は、接道義務を果たす必要があるでしょう。
4号特例の縮小(実質的な廃止)による影響
4号特例の縮小によって、木造2階建てなどの建物の新設・リフォームの際に建築確認・検査が必要になるため、構造設計や資料作成といった対応が求められるようになり、設計士の負担がこれまでよりも増えることになります。
手間のかかる業務を専門家にサポートを依頼することで、スムーズに進められるでしょう。
パナソニックでは、空調・換気設備の設計にまつわるサポートを行なっています。空調設備の機種選定はもちろん、空調負荷や換気量の算出、気流の設計といった複雑で手間のかかりやすい業務も対応しています。リフォームの際に空調設備まで含めて改修する場合や、レイアウト変更がある場合の空調設備見直しについては、パナソニックにお任せください。
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まとめ
4号特例の縮小によって、木造2階建てなどの建築物の確認申請のルールが大きく変わります。
現行の4号建築物である平屋(延べ面積200㎡以下)に限っては、引き続き特例の対象となります。しかし、木造2階建てなどの建築物は、改正後には審査省略制度の対象外となります。加えて、構造・省エネ関連の図書の提出も必要となるため、設計士の業務負担が増えると考えられます。
この影響により、設計士の業務負担が増えると考えられます。専門家にサポートを依頼することも視野に入れ、適切な対応を検討しましょう。
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