設備設計は、建築設計の分野の一つです。建物の機能性や快適性、そして環境への配慮などにおいて、不可欠な役割を果たします。
本記事では、設備設計の定義や役割、重要性、そして設計設備が担う業務の種類などについて解説していきます。
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▼目次
設備設計とは
ここでは、設備設計の定義と、建築設計における他分野との関係について詳しく見ていきましょう。
設備設計=建築設計の1つの分野
設備設計とは、建築設計を構成する一分野であり、電気や水道、空調といったインフラを設計することを指します。
一般社団法人 日本設備設計事務所協会連合会では、以下のように定義されています。
建築物・構造物などにおける環境・エネルギーを最適化して快適な室内環境を設計します。<水・空気・電気>、給排水、空調、電気、昇降機設備の設計により、建築物の室内空間の「品質」※1+「コスト」※2を創造します。
※1 品質:快適性、機能性、安全性、利便性、省エネルギー・省資源
※2 コスト:イニシャル・ランニング・ライフサイクルコスト ※3の削減
※3 ライフサイクルコスト(LCC):LCC=建設コスト+運用コスト(光熱水費・メンテナンス費・修繕費)+解体コスト 光熱水費=建設コストの3~4倍。光熱水費の抑制がトータルコストの削減につながる。
引用元:
設備設計とは|一般社団法人 日本設備設計事務所協会連合会 JAFMEC Japan Federation of Mechanical & Electrical Consulting Firms Association
設備設計の役割は、単にインフラを整備するだけではありません。
デザインと機能の両立、省エネルギー性の追求、環境への影響の最小化、ライフサイクルコストの最適化など、多岐にわたる要素を考慮しながら、最適な設備を設計することが求められます。
意匠設計・構造設計との関係
建築設計を構成する要素として、設備設計の他にも、条件・環境を多角的に考慮し、建物を美しくデザインする役割を担う「意匠設計」と、建築物の構造の強度について設計する役割を担う「構造設計」があります。
これら3分野は、どれが欠けても建築設計が成り立たないものであり、互いに密な連携をとっていくことが重要です。
例えば、意匠設計が行う内外装のデザイン設計は、空調や照明の計画に大きな影響を与えます。また、構造設計で行われる柱や梁の配置は、設備設計における配管計画などに大きく影響します。
それぞれの連携が不足した状態で設計が進むと、建築設計全体が成り立たなくなってしまうでしょう。
設備設計が担う業務の種類
設備設計の業務は、「機械設備設計」と「電気設備設計」の2つに大別できます。それぞれの設計分野が担う役割や含まれる内容について、詳しく見ていきましょう。
機械設備設計
機械設備設計は、建物内で過ごす人々が快適に過ごすために必要な、設備の設計を行います。大きく、「空調・換気設備設計」と「給排水衛生設備設計」の2種類に分かれます。
設備の種類 |
概要 |
空調・換気設備設計 |
建物内の温度・湿度・空気の流れを最適化し、快適性を保つための設計。建物の構造や用途を考慮し、エアコンや換気設備の導入・配置の検討などを行う。 |
給排水衛生設備設計 |
建物で過ごす人の快適性や衛生性を保つための、給水・給湯・排水、ガス、衛生器具などに関する設備設計を行う。 |
電気設備設計
電気設備設計では、電気に関する設備設計を行います。
電気設備設計は、利便性や安全性を担保するために重要であり、建物内で電気を使用するあらゆる設備に関わる設計です。具体的には、受変電設備や照明設備、音響設備、セキュリティ設備、防災設備、通信設備などが挙げられます。
基本的には設計された建築図面をもとに、求められる電気設備を計画し、配線などの設計を行っていく役割を担います。
設備設計の流れ
下表は、設備設計の基本的な流れについてまとめたものです。
流れ |
内容 |
1.企画・基本計画 |
・施主が希望する環境や条件をヒアリング ・敷地の調査、給水・排水・ガスなどのインフラ設備の位置や有無の確認 ・ヒアリングや敷地調査をもとに設備計画を作成し提案 |
2.基本設計 |
・企画で作成した設備計画をより具体化し、基本設計図や基本計画書を作成 ・意匠設計や構造設計との調整、各種の法規の確認なども行う |
3.実施計画 |
・基本設計の内容に基づいて実施設計図を作成 ・設備機器の仕様決定 |
4.積算 |
・設備機器や配管、建材、資材にかかるコストを計算し、見積書を作成 |
5.確認申請 |
・確認申請を行い、各検査機関から法的な承認を得る |
6.竣工管理 |
・実施設計図に則って工事が進んでいるか品質管理を行う ・工事途中の設計変更があった場合はその対応 |
7.検査 |
・竣工後の各種検査、適合していることを確認して引き渡し ・引き渡し後、何らかの不具合が出た場合はそのアフターフォローも行う |
設備設計のなかでも空調・換気設計が持つ重要性
前述の通り、空調・換気設備は建物内の温度・湿度・空気の流れを最適化する役割を担います。建物内で過ごす人の快適性や健康維持にも影響するため、その重要性は非常に高いです。
また、資源エネルギー庁の調査によると、オフィスビルにおける夏場の各種設備の電力消費のうち、約半分を「空調」が占めるというデータが出ています。電気代コストの削減という観点からも、環境への影響という観点からも、その建物に合わせた適切な空調設備の設計・導入が必要不可欠であるといえるでしょう。
画像引用元:夏季の省エネ・節電メニュー 令和5年6月|資源エネルギー庁|経済産業省
空調設備の設計には、専門的な知識が必要になります。設備設計は専門外である意匠設計士の方が自分で対応するというケースもありますが、設計には手間がかかり、難易度も高いため、空調設備設計の専門家にサポートを依頼をするのも選択肢の一つです。
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まとめ
設備設計は、建築設計における要素の一つです。電気、水道、空調などのインフラを設計し、建物の機能性と快適性を支えます。
設備設計は、機械設備設計と電気設備設計に大別され、それぞれが建物の快適性、安全性、効率性を確保する役割を果たしています。
機械設備設計に含まれる空調・換気設計は、建物利用者の快適性と健康性、さらにはエネルギー効率の観点からも重要な分野といえるでしょう。
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