7月 16, 2024
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正しい換気の仕方について|窓の有無・季節ごとに解説

換気は、正しい仕方で行なうことで、以下のような役割を果たします。


  • 酸素を取り込み二酸化炭素濃度を下げる
  • ホコリや建材や家具から出る化学物質を排出する
  • 臭いが部屋にこもるのを防ぐ
  • 部屋の湿気を外に逃がす


このうち、酸素の取り込みや有害物質の排出といった空気の清浄は、エアコンではできません。

特に近年の建造物は気密性・断熱性が向上しており、室内の汚染物質が蓄積しやすくなっています。実際に、室内の汚染された空気で引き起こされる体調不良(シックハウス症候群)が問題視され、空気質の改善と健康被害の防止を目的とした規制が2003年7月の建築基準法で導入されました。24時間換気システムが義務化されたものの、正しく活用できていないケースも少なくありません。

そこで本記事では、正しい換気の仕方について解説していきます。窓がない場合や、季節ごとの換気の仕方も紹介しているため、ぜひ参考にしてください。

なお、快適な室内環境を作るために最も重要なのは空調設備の設計です。空気の流れを考慮した設計は、快適な空間を維持しやすく、省エネにも貢献します。換気扇や全熱交換器といった空調設備による空気の入れ替えも検討してみましょう。

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24時間換気システムがあっても窓開けや換気扇による換気は必要?

24時間換気システムとは、その名の通り24時間体制で換気を行う設備のことです。このシステムは、2時間で室内のすべての空気を入れ替えるように設計されています。

頭痛やめまいといったシックハウス症候群が1990年代後半に社会問題になったことを受け、2003年7月に建築基準法が改正され、24時間換気システムの設置が義務化されました。そのため、2003年7月以降に建てられた建築物であれば、必ず設置されています。

24時間体制で換気を行うことから、「窓を開けたり換気扇を使用する必要はないのでは?」と疑問に思う方も多いようです。ここでは、その疑問について解説していきます。

適切に機能していれば追加の換気は不要

結論として、24時間換気システムが適切に機能している場合、追加の換気は必要ありません。

反対に、窓を開けたり換気扇を回したりすることで設計された換気経路が崩れてしまい、逆効果になる恐れもあります。例えば、外気の影響を受けにくい高気密・高断熱で建てられた建物の場合、窓を開けることで外気が侵入するため、設計上の効果が無くなってしまいます。

24時間換気システムが「機能している」とは?

24時間換気システムが適切に機能している場合は、追加の換気は不要と説明しました。では、具体的にどのようなケースが「機能している」と言えるのでしょうか。以下にまとめました。

24時間換気システムが機能しているケース

詳細

建物の条件や性能、用途に応じた換気経路の設計がされている部屋・建物

建物の条件(例:面積、間取り)や性能(気密性)、使用用途(例:住宅、オフィス、飲食店)に応じて適切な換気設計は異なる

気密性のある部屋・建物

建物にすき間があると、設計した換気経路とは異なる流れで換気されるため、空気の淀みが発生する

24時間システムのスイッチを常時「オン」にしている

スイッチを切ってしまうと空気の入れ替えができない(必ず常時運転させる)

24時間システムのフィルターを定期的に掃除している

フィルターにホコリや汚れが詰まると空気の循環ができなくなってしまう(半年から1年に1回程度はフィルターのお手入れを行う)

設計上の人数の滞在

換気経路の設計では室内の人数も考慮されるため、それよりも多い人数がいると十分な換気ができない(例:ホームパーティーなど)

室内を通常の用途で利用している

24時間システムは2時間で室内の空気を入れ替えるため、調理などで急激に空気が汚染される場合は換気が追いつかない


まとめると、以下のケースでは窓を開けたり換気扇を回したりして換気を行う必要があります。


  • 建物の条件や性能、用途に応じた換気経路の設計がされていない部屋・建物
  • 気密性の低い部屋、建物
  • 24時間換気システムが取り付けられていない建物
  • 24時間換気システムのスイッチを切っている場合
  • 24時間換気システムのフィルターの掃除をしていない場合
  • ホームパーティーなど自宅で集まった場合
  • 調理などで室内の空気が急激に汚染された場合


なお、換気経路の設計が正確にされているかどうかや、気密性については設計事務所に確認したり、空調メーカーなどが実施している換気プランの作成を依頼したりすることで把握できるでしょう。

パナソニックでは、企業様向けに無料で空気の健康診断を行っています。面積や密度、使用目的などの空気条件を分析するほか、その空間に最適な空質空調のあり方のご提案もさせていただきます。お気軽にご相談ください。

 

24時間換気システム以外の換気の仕方

上述のとおり、24時間換気システムで適切な換気ができていれば、窓開けなどによる追加の換気は行わなくても問題ありません。

ここでは、24時間換気システムが設置されていない、あるいは24時間換気システムでの換気が不十分な場合の効果的な換気の仕方を紹介します。

30分おきに数分程度の換気を実施する

厚生労働省はウイルス感染対策として、30分に1回以上、数分間程度の換気を推奨しています。

1日のなかで数十分~数時間の換気を実施するよりも、30分おき、1時間おきといった短いスパンで、短時間の換気をこまめに行なった方が効果的です。頻繁に換気を行うことで室内の空気中の汚染物質を排出し、新鮮な空気を取り入れることができるため、クリーンな環境を維持できます。

窓を2か所以上開けて空気の通り道を作る

換気の際は、2か所の窓を開けて空気の通り道を作りましょう。また、部屋全体の空気をしっかりと入れ替えられるように、対角線上に開けることがポイントです。

換気 仕方_02


なかには、窓が一つしかない、あるいは窓がなく、2箇所以上開けることができない場合もあります。そういった場合でも、工夫次第で換気を行うことが可能です。具体的な方法を見ていきましょう。

窓が1つしかない部屋の場合

窓が1つしかない部屋の場合は、部屋のドアを使って換気を行います。ドアと窓を開けたうえで、扇風機やサーキュレーターを窓に向けて設置すると、室内の汚染物質を排出することが可能です。

換気 仕方_04

窓がない部屋の場合

窓がない部屋の場合は、その部屋に換気口(排気)があるかを確認してください。換気口(排気)の有無によって、適切な換気方法が異なります。

■排気口(排気)が部屋にある場合


換気 仕方_03

換気口(排気)が室内にある場合は、部屋のドアを開けて、ドアの周辺に扇風機やサーキュレーターを設置します。

その際、扇風機やサーキュレーターは室内に向けて設置するようにしましょう。

 

■排気口(排気)が部屋ない場合


換気 仕方_06

排気口(排気)がない部屋の場合は、ドアを開けてから、ドアに向けて扇風機やサーキュレーターを設置します。この際、部屋の奥とドアの周辺の2つに設置すると効果的です。

そのうえで、別室にある窓を開けたり、換気扇を稼働させたりすることで、汚れた空気を排出することができます。

なお、窓の有無に関係なく、適切な換気を行うには全熱交換器の導入がおすすめです。全熱交換器は、外部から取り入れる新鮮な空気に、排出する室内の空気の熱を移動させることで換気による室内温度の変化を防ぐため、エネルギー効率を高めながら室内の快適な環境を維持できます。

パナソニックでも天井埋込形、天吊カセット形、後付け可能な床置形など、熱交換気ユニットをご用意しております。

 

空気の入り口は狭くする

よくある換気の間違いとして挙げられるのが、窓を全開にすることです。窓を全開にしたほうが、より早く効果的に換気ができそうですが、実際は異なります。

空気は狭いところから広いところへ出ていくという性質があります。この性質を利用することで空気が流れやすくなり、換気の効果も上がります。空気の入り口は、窓のサイズの1/3から1/4程度を開け、出口の窓は全開にしましょう。

湿度が低い時間帯に行う

湿度の低い時間帯に換気を行うことで、室内の湿った空気を排出でき、カビの発生を防ぎやすいです。

反対に、湿度が高い時間帯に換気をすると室内に湿気が入り込んでしまい、結露やカビが発生しやすくなります。そのため、湿度の低い以下の時間帯を目安に換気を行うのがおすすめです。


  • 春夏:12時〜16時
  • 秋冬:12時〜14時頃

 

季節ごとの換気の仕方

暑い時期や寒い時期には、室内温度を保つために換気を避けてしまいがちです。また、花粉が飛散するシーズンは、室内への花粉の入り込みを防ぐために、窓を開けることを避けてしまうかもしれません。

しかし、24時間換気システムや全熱交換器といった空調設備による換気が十分でない場合、汚染物質が室内に溜まってしまいます。シックハウス症候群を防ぐためにも、シーズンを問わず、定期的な換気が必要です。

そこで、夏場、冬場、花粉が飛散するシーズンに分けて、室内環境の変化をできる限り避けながら、効果的に換気を行う方法をご紹介します。

夏場の換気方法

夏場は熱中症予防のためにも、エアコンをつけたまま換気を行いましょう。エアコンは起動時に多くのエネルギーを必要とするため、換気のたびにオン・オフを切り替えると無駄な電力を使ってしまいます。

ポイントは、エアコンからできるだけ離れた窓を開けることです。外の熱い空気をエアコンが吸い込むことによって負荷がかかるため、消費電力が上がってしまうからです。

ただし、帰宅した際などエアコンの稼働時であれば、電源を入れる前に換気を行うのがおすすめです。室内にこもった熱気を外に排出できるため、エアコンの効きがよくなり、無駄な負荷を減らすことにより省エネにもなります。

換気 仕方_05

冬場の換気方法

冬場も夏場同様、暖房をつけたまま換気を行い、できるだけエアコンから離れた窓を開けることでエアコンの負荷を低減できます。しっかりと室内が温まっていれば、数分程度の換気では温度が下がりにくくなります。

換気を行っている間に別の部屋に移動するのも良いでしょう。とはいえ、季節や地域によっては寒さが気になるものです。その場合は、1回あたりの換気時間を短くしても構いません。

花粉症の時期の換気方法

花粉が飛散するシーズンは、飛散量が少ない朝に換気を行うと他の時間帯よりも花粉の侵入を減らせます。とはいえ、定期的な換気のほうが効果的です。空気清浄機やレースカーテン、掃除機、拭き掃除を活用し、こまめな換気を行いましょう。

業務用の空質空調システムはパナソニックへご相談を

季節や花粉、天候を問わず快適な室内環境を保つためには、窓の開閉だけでなく、24時間換気システムをはじめとした空調設備による安定した換気が必要です。

なかでも全熱交換器は、外気を取り込む際に温度と湿度を調整することでエアコンへの負荷を軽減できるため、おすすめの選択肢です。省エネルギーでありながら1年中快適な室内空間を実現します。

後付け可能なタイプの全熱交換器であれば、既存の店舗や施設の換気対策を強化しやすいでしょう。


パナソニックでは、お客様のニーズに合わせた最適な空調ソリューションをご提供いたします。業務用の空質空調システムについてのご相談は、ぜひパナソニックへお任せください。

 

まとめ

快適な室内環境を保つためには、適切な換気が重要です。24時間換気システムが設置されている場合は常時運転させ、定期的なフィルタ―のお手入れも欠かさないようにしましょう。

24時間換気システムが適切に機能していれば窓開けや換気扇の使用は不要ですが、建物の気密性などの理由により、併用したほうが良いケースもあります。本記事で紹介した換気の仕方を参考に、クリーンな室内環境を維持しましょう。

なお、全熱交換器であれば、季節や天候を問わず、適切な換気を実施することができます。より快適な室内空間を希望する方は、ぜひご検討ください。

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