「オフィスを新設するので、業務用エアコンの設置を検討している」、「店舗のエアコンの調子が良くないので、買い替えたい」、こういったお悩みはありませんか?
オフィスや店舗には空調設備が必要不可欠です。とはいえ高額な設備ですので、新規導入や交換に際しては慎重になる方も多いものです。
この記事は、業務用エアコンの設置や交換で使える補助金制度についてまとめました。申請のタイミングや期限を誤ると補助金制度を受けられなくなることもあるため、ポイントをしっかり押さえておきましょう。
※本記事の情報は、2023年12月時点の内容になります。制度内容等が変更になっている可能性があるため、最新の情報をご確認ください。
▼ 目次
業務用エアコンの設置で使える補助金制度
補助金の交付実施機関は主に、国や地方自治体です。省エネや環境対策を目的としており、それに有効なエアコンや空調設備の設置を条件とする場合がほとんどです。
こちらの記事では、多くの補助金制度の中から下表の制度を取り上げ、一つずつ解説しています。
実施機関 |
補助金制度一覧 |
補助額 |
国 |
補助対象経費の1/3以内 (上限1億円、下限30万円) |
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改修内容に応じて決まる ⇒定額または補助対象経費の1/2~1/3相当 等 |
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地域レジリエンス・脱炭素化を同時実現する 公共施設への自立・分散型エネルギー設備等導入推進事業 |
地域や内容で決まる ⇒1/3~1/2(上限500万円/件) |
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SHIFT事業 (工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業) |
「設置計画作成支援」 ・A/B事業向け支援:60~100万円 ・C事業向け支援:50万円 ※DX型計画策定支援は上限が100万円増額される 「設置支援」 事業の種類によって決まる ⇒5,000万円~5億円 |
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事業再構築補助金 |
9つの枠に分類されており、条件や補助額が異なる ※詳細はこちら |
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ものづくり補助金 |
6つの枠に分類されており、条件や補助額が異なる ※詳細はこちら |
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自治体①(※) 東京都 |
補助対象経費の2/3~3/4 (上限1,000万円~5,000万円) |
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自治体②(※) 神奈川(横須賀市) |
中小企業等省エネ化支援補助金 |
補助対象経費の1/2(上限50万円) |
※自治体ごとに異なるため、2つの地域を参考として紹介
\対象となる補助金が一目でわかる/
省エネ設備への更新支援
省エネ設備への更新支援は、国が工場や事業所の設備更新を対象に、省エネ対策を目的として行っている制度です。主に、下記3つの類型に分かれます。業務用エアコンの入れ替えに関しては「設備単位型」が対象の区分となります。
- 工場・事業場型
- 電化・脱炭素燃転型
- 設備単位型
設備単位型は、予め登録されたリストから選択する機器への更新について補助します。そのため、導入できる機器は、エネルギー消費効率の基準を満たし「補助対象設備として登録された指定設備」に限られます。
補助率・補助額 |
補助対象経費の1/3以内(上限1億円、下限30万円) <補助対象経費>設備費 |
対象事業者 |
中小企業 |
対象設備(エアコン) |
高効率空調 |
申請期限 |
未発表(2023年12月時点) |
補助条件 |
基準を満たした設備を導入すること |
参照元:令和5年度補正予算における省エネ支援策パッケージ|資源エネルギー庁
業務用建築物の脱炭素改修加速化事業
こちらの制度は、CO2削減のポテンシャルが大きい既存建築物を、効率的に省エネ化するための支援策です。
本制度は、エアコンのみの設置が補助の対象となるわけではなく、断熱材や断熱窓、高効率照明等による外皮の高断熱化を同時に行う必要があります。改修後の省エネ性能が一定の要件を満たすことが条件です。
※対象事業者・申請期限などは2023年12月現在、未発表となっています。
引用:令和5年度補正予算における 省エネ支援策パッケージ|経済産業省
補助率・補助額 |
改修内容に応じて決まる ⇒定額または補助対象経費の1/2~1/3相当 等 <補助対象経費>未発表(2023年12月時点) |
対象事業者 |
未発表(2023年12月時点) |
対象設備 (エアコン) |
高効率空調機器 |
申請期限 |
未発表(2023年12月時点) |
補助条件 |
・改修後に外皮性能や一次エネルギー消費量が基準を満たしていること ・基準を満たした設備を導入すること |
参照元:業務用建築物の脱炭素改修加速化事業(脱炭素ビルリノベ事業)について | 地球環境・国際環境協力 | 環境省
地域レジリエンス・脱炭素化を同時実現する公共施設への自立・分散型エネルギー設備等導入推進事業
画像引用元:地域レジリエンス・脱炭素化を同時実現する公共施設への自立・分散型エネルギー設備等導入推進事業 | 総合環境政策 | 環境省
昨今の災害リスクの増大に対して、災害による停電時に「公共施設へエネルギー供給等が可能な再エネ設備を導入する事業」を支援する制度です。それとともに、地域の脱炭素化の実現を掲げています。
エアコンだけでなく、災害時に電力の供給が止まった際、発電や空調を継続する機器などが対象になります。事業完了後3年間は、1年ごとにCO2削減効果等の事業報告書の提出が必要になります。
補助率・補助額 |
地域や内容で決まる ⇒1/3~1/2(上限500万円/件) |
対象事業者 |
公共施設等(病院、学校など) |
対象設備 (エアコン) |
防災・減災に資する再生可能エネルギー設備、未利用エネルギー活用設備、コジェネレーションシステム(CGS) 及びそれらの附帯設備(蓄電、充放電設備・充電設備、自営線、熱導管等) 並びに省CO2型設備(高機能換気設備、省エネ型浄化槽含む)等 |
申請期限 |
未発表(2023年12月時点) |
補助条件 |
要確認 |
参照元:地域レジリエンス・脱炭素化を同時実現する公共施設への自立・分散型エネルギー設備等導入推進事業 | 総合環境政策 | 環境省
SHIFT事業(工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業)
画像引用元:環境省_SHIFT事業とは | SHIFT事業ウェブサイト
SHIFT事業は、工場や事業場における脱炭素化に対して支援する制度です。
補助内容は、脱炭素化促進計画の「策定を支援するもの」と、脱炭素化促進計画のための「設備更新の補助」の2つがあります。設備更新の場合は「設備A」と「設備B」の2つがあり、どちらも補助金を受け取った際、CO2排出量削減の目標が課せられます。
目標を達成しなかった場合、他の参加事業者からCO2排出枠を購入する必要がありますが、達成した場合は排出枠を売却して利益を得られる仕組みです。
補助額 |
■設置計画作成支援 ・A/B事業向け支援:60~100万円 ・C事業向け支援:50万円 ※DX型計画策定支援は上限が100万円増額される ■設置支援 事業の種類によって決まる ⇒5,000万円~5億円 |
対象事業者 |
工場・事業場を保有する中小企業等 ※年間のCO2排出量が50t以上3,000t未満 |
対象設備 (エアコン) |
高効率化あるいは 電化・燃料低炭素化した産業・業務用設備機器や生産設備 引用:令和5年度SHIFT事業 |
申請期限 |
未発表(2023年12月時点) |
補助条件 |
要確認 |
事業再構築補助金
画像引用元:トップページ | 事業再構築補助金
新型コロナウイルス感染症の影響が長引いたことにより、事業の需要や売上の回復が期待できない企業が、ウィズコロナ、ポストコロナ時代の社会変化に対応するための事業再構築を支援する制度です。
業務用エアコン単体の補助金は対象外となっていますが、「建物費(付属設備含む)」の場合に対象となる可能性があります。
下記のように枠が分かれており、それぞれ条件や補助額が異なります。
- 成長枠
- グリーン成長枠(エントリー)
- グリーン成長枠(スタンダード)
- 卒業促進枠
- 大規模賃金引上促進枠
- 産業構造転換枠
- サプライチェーン強靭化枠
- 最低賃金枠
- 物価高騰対策・回復再生応援枠
今回は例として、グリーン成長枠について以下にまとめました。
■グリーン成長枠(エントリー)の場合
補助率・補助額 |
■補助率 ・中小企業1/2 (大規模な賃上げを行う場合は2/3) ・中堅企業1/3 (大規模な賃上げを行う場合は1/2) ■補助額 ・中小企業 従業員数 20人以下:100万円~4,000万円 従業員数 21~50人:100万円~6,000万円 従業員数 51人以上:100万円~8,000万円 ・中堅企業:100万円~1億円 |
申請期限 |
記載なし |
補助条件 |
必須要件に加え、以下の[1]及び[2]を満たすこと [1]グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決に 資する取組として記載があるものに該当し、 その取組に関連する1年以上の研究開発・技術開発 又は従業員の5%以上に対する年間20時間以上の人材育成(※)をあわせて行うこと [2]事業終了後3~5年で給与支給総額を年率平均2%以上増加させること |
参照元:事業再構築補助金の概要(中小企業等事業再構築促進事業)12.0版|中小企業庁
※注:2023年12月時点では次年度の情報がないため、前年度の情報をもとにまとめています。申請を検討されている方は、公式サイトをご確認ください。
ものづくり補助金
画像引用元:トップページ|ものづくり補助事業公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト
中小企業の生産性向上を目的に、サービスや生産プロセスの改善を行うための設備投資を支援する補助金制度です。事業再構築補助金同様、業務用エアコン単体の補助金は対象外ですが、「建物費(付属設備含む)」の場合に対象となる可能性があります。
ものづくり補助金は下記6つの枠に分類されており、条件や補助額が異なります。
- 省力化(オーダーメイド)枠
- 通常枠
- 回復型賃上げ・雇用拡大枠
- デジタル枠
- グリーン枠
- グローバル市場開拓枠
一例として、省力化(オーダーメイド)枠について以下にまとめました。
■省力化(オーダーメイド)枠の場合
補助率・補助額 |
補助率:中小企業1/2、小規模・再生2/3 補助上限:従業員人数によって異なる 5人以下:750万円 6~20人:1,500万円 21~59人:3,000万円 51~99人:5,000万円 100人以上:8,000万円 |
申請期限 |
公募開始:令和5年12月27日(水)17時~ 申請受付:令和6年2月13日(金)17時~ 応募締切:令和6年3月1日(金)17時まで |
補助条件 |
以下を満たす3~5年の事業計画書の策定および実行 ①付加価値額 年平均成長率+3%以上増加 ②給与支給総額 年平均成長率+1.5%以上増加 ③事業場内最低賃金が地域別最低賃金+30円以上 |
参照元:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領 (17次締切分)
自治体独自の補助金制度
補助金制度は国だけでなく、自治体が独自で行っている場合があります。参考として「東京都」「神奈川県(横須賀市)」の2つの地域における補助金制度を紹介します。
【東京都】ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業
「2050年CO2排出実質ゼロ」に向け、中小企業等の省エネ化を促進するための設備導入と運用改善をサポートする補助金制度です。
業務用エアコンだけでなく、下記のような設備導入も支援対象となっています。
- 全熱交換器
- LED照明設備
- 高効率ボイラー
- 断熱窓
- 高効率コンプレッサー
補助額 |
補助対象経費の2/3~3/4(上限1,000~5,000万円) ※補助条件の実施内容、事業所全体の省エネ性の向上割合で決まる <補助対象経費>設計費・設備費・工事費 |
対象事業者 |
・中小企業等(中小企業、学校法人、社会福祉法人など) ・上記企業と共同で事業を行う「リース事業者」「ESCO事業者」 |
対象設備(エアコン) |
高効率空調設備 |
申請期限 |
未発表(申請受付開始は12月下旬予定) ※事業実施年度は令和5年度から令和7年度まで |
補助条件 |
・都内に所有または使用する中小規模事業所であること ・下記[1][2]のいずれかを実施すること [1]事前に省エネ診断を受診し、その提案を基に省エネ設備の導入または運用改善を行う [2]申請を行う事業者が計画を作成し、 省エネ効果を確認できる省エネ設備の導入または運用改善を行う |
参照元:クール・ネット東京 :東京都地球温暖化防止活動推進センター | 「ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業」
【神奈川県(横須賀市)】中小企業等省エネ化支援補助金
物価やエネルギー高騰への事業者サポート策として、長きにわたりコスト削減や脱炭素化を目指すための「設備省エネ化」を支援する補助金制度です。
エアコンはもちろんのこと、下記設備も対象に該当します。
- LED照明設備
- 冷蔵庫
- 冷凍庫
- 給湯器
- ボイラー
- その他業務機器
こちらの補助金制度では、更新に伴う既存の設備撤去や廃棄にかかる経費、機器運搬と設置にかかる費用も補助対象に含まれます。
補助額 |
補助対象経費の1/2(上限50万円) <補助対象経費>設備費 |
対象事業者 |
横須賀市内で、以下に該当する物件を使用して事業運営を行っている中小企業、個人事業主、協同組合等
※中小企業の範囲は、下記[1][2]のいずれか [1]資本金の額または出資の総額 製造業等:3億円以内 卸売業:1億円以内 サービス業:5,000万円以内 小売業:5,000万円以内 [2]常時雇用する従業員の数 製造業等:300人以内 卸売業:100人以内 サービス業:100人以内 小売業:50人以内 |
対象設備 (エアコン) |
エアコン ※更新に伴うその他経費も補助対象(既存設備等の撤去など) |
申請期限 |
令和6年2月2日の17時まで |
補助条件 |
・市税の滞納がないこと ・非対象事業者(暴力団など)ではないこと ・事業専用で使用する設備であること ・エネルギー使用量の削減を証明できる設備であること ・買い替えであること(新規購入・設置は対象外) |
補助金制度を活用する際の注意点
補助金制度を活用する上で、特に注意したいポイントは下記の2つです。
- 申請のタイミング
- 申請の期限
各補助金制度の申込件数は非常に多く、申請期間内でも募集を締め切ることが多々あります。そうならないためにも、こちらのポイントが重要になります。それぞれ詳しく解説します。
【注意点①】申請のタイミング
ほとんどの補助金制度では、エアコン「設置前」の申請が必要です。設置してからでは補助対象とならないため、必ず工事着工前に申請するよう注意しましょう。
制度ごとに申請のタイミングが異なるため、事前に補助金制度の概要を確認しておくことをおすすめします。
【注意点②】申請の期限
補助金制度は、事業者ごとに申請期限や施工期限が決められています。支給の対象外とならないよう、余裕を持って申請手続きを進めましょう。
また、期限内であっても、予算に達し次第、受付を終了する補助金制度もあります。そのまま補助金制度が終了する場合もあれば、引き続き公募を行うこともあるため、最新情報を必ずご自身でチェックしましょう。
業務用エアコンの設置には補助金を活用しよう
今回は、業務用エアコンの導入・交換の際に使える補助金制度を紹介しました。
補助金制度は公募ごとに対象や条件が変わることもあるので、こまめにチェックする必要があります。繰り返しになりますが、補助金制度には多くの申し込みがあり、期間内であっても予算に達して終了することが多々あるため、余裕を持った申請を行いましょう。
また、パナソニックでは高効率エアコン、空調設備を多数取り扱っています。この機会にぜひご検討ください。下記にて市町村別・商品別の補助金制度の検索ができますので、検討している方は参考にしてみてください。
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